井上尚弥の衝撃KO劇がヒント「潰し方がうまい」 那須川天心が描く前世界王者モロニーの攻略法
THE ANSWER / 2024年12月28日 6時13分
■Amazon プライムで生配信
ボクシングの帝拳プロモーションは27日、都内で会見し、2月24日に東京・有明アリーナでダブル世界戦とWBOアジアパシフィック(AP)バンタム級王者・那須川天心(帝拳)のボクシング転向6戦目を開催すると発表した。那須川は同級ノンタイトル10回戦で前WBO世界同級王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア)と対戦。かつて井上尚弥(大橋)が見せつけた衝撃KO劇から攻略のヒントを探っている。興行はAmazon プライム・ビデオで生配信。戦績は26歳の那須川が5勝(2KO)、34歳のモロニーが27勝(19KO)3敗。
井上がWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者だった2020年10月、米ラスベガスのMGMグランドでモロニーを迎え撃った。6回にカウンターの強烈な左フックでダウンを奪取。7回にも強烈な右ストレートをお見舞いした。膝から崩れ落ちたモロニー。2度目の世界戦でプロ2敗目、KO負けは初めてだった。
世界に衝撃を与えたKO劇。「終始、圧倒していましたよね。距離の潰し方が上手かったです。まだ少ししか見ていないですが」。那須川も映像で確認した。ボクシング6戦目で間違いなく最も強い相手。「距離が大事になる。互いにジャブを突き合って、距離を取り合う選手。そこでいかに負けないか。そこだけで勝負が決まる。そこがテーマです」と攻略法を思い描いた。
モロニーは再起後5連勝で23年5月に世界王座を戴冠。初防衛に成功後、今年5月に東京Dで武居由樹に判定負けし、王座から陥落した。今回が再起戦。武居戦をリングサイドで観戦した那須川は「世界王者の怖さ、攻める気持ちもある」と警戒した。持ち合わせる武器が異なる上にまだ6戦目のため、同じようにはいかない。だが、実力を比較されやすい状況を受け止めた。
「相手は全体的に優れていて綺麗。何でもできるバランスの取れた選手。自分よりキャリアが何倍も上。日本人と試合をしているので、そこと比べられる。その闘いもあるのかなと思っています。周りは比べたがるけど、今はそれよりモロニーに向き合っている。周りの評価はどうでもいい。ジム、応援してくれる人の声だけを聞ければ」
対戦候補5人の中から迷いなく世界王者経験者を選択したと明かす那須川【写真:中戸川知世】
■対戦候補5人からモロニーを選択「世界に通用するか、しないかわかる試合に」
格闘技戦績47戦全勝(キックボクシングは42戦)でボクシングに転向し、10月の前戦で大差判定勝ち。転向5戦目で初挑戦だった地域タイトルを獲得した。世界ランクはWBA2位、WBC3位、WBO7位につけ、陣営は来年秋頃のプロ8~10戦目に世界初挑戦させることを想定してきた。モロニー戦をクリアできなければ、世界挑戦は遠のくことになる。
今回はジムから初めて対戦候補を出された。5人の中から迷いなく世界王者経験者を選択。「『試合を見ろ』と言われたけど、見ずにモロニーにしました。僕がボクシングをやって以降、初めて名前がわかる選手。ここに来て勝負になる。自分の中でもボクシング挑戦の表明が『生半可じゃねぇぞ』というのが伝わる。実力が本物か、偽物かわかる」と強敵を望んだ。
10月の前戦は前に出てこず、アマ200戦以上の経験のある相手に攻めあぐねた。徐々にリズムをつくり、9回に左ボディーストレートで先制ダウン。再開後も攻勢を強め、反撃に出る相手をいなした。最終10回は偶然のバッティングで左目上から流血。粘る相手に判定勝ちしたが、不完全燃焼だった。
「まだまだ課題が見つかった。そこを復習して、一つひとつのパーツは成長できている。それを繋げたり、距離の修正をしたり、そこを毎日徹底して稽古しています」
かねて自身との対戦を熱望してきた武居が、右肩関節唇損傷で1月24日の初防衛戦を延期した。那須川は「どこのベルトに挑戦するかはっきりしていない。怪我をしてしまいましたけど、運命なのでやると思います。絶対やると思いますよ」と言及。まずは目の前の一戦に照準を合わせた。
「自分が世界に通用するか、しないかわかる試合になる。やっとベルトが見えてきた。ここは落とせない。来年は“対世界”になります。今までは、ボクシングを始めたばかりで『まだこんなもんでしょ』という見られ方。『来年はどういうベルトを獲るか』と見られ方も変わる。
僕より強いと言われる選手がたくさんいる。こういう試合をしてこそ格闘家だし、ナンボだと思う。こういう時の僕はめちゃくちゃいいですよ。久々の感覚です。2025年の一発目。革命の狼煙を上げます」
○…同興行では、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)が同級6位ダビド・クエジャル(メキシコ)と3度目の防衛戦を行う。WBA世界同級王者・堤聖也(角海老宝石)が、元WBC世界フライ級王者でWBA世界バンタム級7位・比嘉大吾(志成)と初防衛戦。他のバンタム級王座はIBFに西田凌佑(六島)、WBOに武居由樹(大橋)が就き、日本人が独占している。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)
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