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留学生と主将「喧嘩も多かった」 言葉と文化の壁…初の決勝で泣いた慶誠が「家族」になるまで【高校バスケ】

THE ANSWER / 2024年12月29日 8時13分

慶誠の準優勝に貢献したロー・ジョバ(0番)と岸希(12番)【写真:(C)SoftBank ウインターカップ2024】

■SoftBank ウインターカップ2024女子決勝

 バスケットボールの全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2024」は28日、東京体育館で女子決勝が行われ、県勢初の決勝に進んだ慶誠(熊本)が3連覇を狙った京都精華学園に54-59で敗れた。主将・岸希と留学生エースのロー・ジョバ(ともに3年)が喧嘩をした日々もあったが、ぶつかり合いながら成長。青年監督の指導が加わり、最後は「家族」になってたどり着いた準優勝だった。

 絶体絶命のピンチでも、固い絆で足を動かした。47-54の第4クォーター残り3分57秒。慶誠はジョバが5つ目のファウルで退場。チーム最多の16得点、15リバウンドの大黒柱がいなくなった。「頑張ってくれたジョバを勝たせたい」。岸は心の中で唱えた。残り50秒で2点差。最後まで諦めなかったが、女王の壁は厚い。「ごめん」。膝に手をつくジョバの背中に手を添え、涙した。

 セネガルからやってきた留学生。最初は「痛い」「ありがとう」しか日本語を知らなかった。文化の違いだってある。「喧嘩も多かった」と岸が唇を噛んだのは、一度や二度ではない。でも、一人で懸命に日本語を覚えようとする背中を見た。「上手く言葉が伝わらなくても逃げない」。つらさ、勝ちたい気持ちは同じ。正面から向き合うと決めた。

 チーム力向上に手を貸したのが、28歳の右田卓也監督。選手時代は九州学院高、同大で全国大会を経験した。「若いからこそできることはたくさんある」。就任6年目、守備や5対5の練習に加わって直接指導。体を張った。心の距離も縮め、悩みを聞いた。「若さを最大限に生かしたい」。熱さに触れたジョバは「先生というより、家族みたい」と慕い、最大限のパフォーマンスを発揮できた。

 試合後、右田監督は「自分の想像を超える結果を出してくれた」と真っ先に選手を称えた。エースの退場後、2点差に迫れたのはピンチを想定した練習があったから。ジョバは今、日本語で取材に答え「姉妹のよう」と岸に感謝する。主将も同じ思い。「ここまで一緒に戦ってくれてありがとう」とコートで伝えた。全国制覇の夢を後輩に託し、熊本の歴史を刻んだコートを去る。(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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