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高橋大輔との出会い、三原舞依との友情…もう全日本は「場違い」じゃない 三宅咲綺を強くした縁【全日本フィギュア】

THE ANSWER / 2024年12月30日 10時3分

6度目の全日本で初のトップ10入りを果たした三宅咲綺【写真:中戸川知世】

■全日本選手権で初のトップ10入り

 今月開催されたフィギュアスケートの全日本選手権(大阪・東和薬品RACTABドーム)。女子シングルで合計196.55点の9位となったのが三宅咲綺(岡山理科大)だ。ショートプログラム(SP)、フリーともに自己ベスト。6度目の全日本で初のトップ10入りを果たした。飛躍の裏には高橋大輔との出会い、同門の坂本花織や三原舞依との友情があった。

 ◇ ◇ ◇

 リンクの真ん中にただ一人いる自分に、拍手が降り注ぐ。悔いが残った過去5回の全日本とは異なる感情が、三宅の胸に広がった。

 20日のSPでは3回転トウループ―3回転トウループの連続ジャンプ、3回転ループなどを決めて8位発進。21日のフリーでも堂々の滑りを披露した。合計196.55点は目標の200点にこそ届かなかったものの、自己最高の総合9位に食い込んだ。


SPの演技後、観客から拍手を浴びた三宅は満面の笑みを見せた【写真:中戸川知世】

 昨年はSPで転倒。フリーでもジャンプでミスが相次ぎ、総合16位だった。「その前の年もフリーで『場違いじゃないか』という気持ちがあって物怖じしてしまって、できることができなかった」。あの頃の弱い自分はもういない。狙って出場した全日本で「ここに相応しいと思って頑張ることができた」と胸を張る。

 変われたきっかけの一つが、高橋大輔フルプロデュースのアイスショー「滑走屋」に出演したこと。同じ岡山出身のレジェンドの姿を間近で見た。「今まで滑ったこともないような時間」と振り返るように、およそ16時間もの間、氷の上にいたこともあった。

「プロの技というか、そこまでしないと人前に出ることができないんだと。大輔さんのプロの根性を見せてもらって、自分の中で練習の時間を大きくさせるきっかけになった」


女子フリー、ジャンプを成功させて力強い表情をみせる三宅咲綺【写真:中戸川知世】

■三原、坂本、中野コーチ…絆で繋がった全日本9位

 岡山理科大の4年生。中野園子コーチに師事し、同門の坂本、三原らとともに技術を磨いてきた。

 三宅を間近で見てきた三原は、SPの演技後に「ほんっとうに頑張っていたので。凄く自信を持って咲綺ちゃんを見ていた」と称賛を惜しまなかった。

 SPは26番滑走が三宅、27番滑走が三原。6分間練習を終えた三原は、控室で三宅の演技に送られる歓声を聞いて安心したという。

「あ、大丈夫だと思って。(自分の)リンクインの前にも咲綺ちゃんの満面の笑みが見られたので、私は凄く幸せで。頑張っている姿を見ていたので嬉しかったです」

 その三原は右足首と股関節の状態が悪化したため、フリーに挑むことなく棄権している。全日本前から痛む足を懸命にケアし、トレーニングに励む姿を見ていただけに、三宅にとっても悔しい出来事だった。

 その後、2人はLINEでこんなやり取りをしている。

三宅「早く治して、舞依ちゃんのやりたい演技ができることを祈ってるよ」

三原「咲綺ちゃんならできるよ、頑張って」

 練習時間が重なることが多かった坂本からも「頑張ってね、絶対いけるよ!」とフリー前に激励された。中野コーチも「一緒に美味しいもの食べに行くよ!」とらしくリンクに送り出してくれた。一人じゃない。その事実が自信を揺るぎないものにした。

「ここ3~4年、強化選手に戻ると言って達成できていなかった。この1年頑張ってきてよかった」

 手応えを感じた一方で、日本女子の選手層の厚さも思い知った。3回転アクセルも跳べるが、この全日本では披露するに至らず。「ここで満足せずにもっと高みを目指したい。まだジャンプの難易度も低いし、もっともっと種類を増やしたりしたら戦えるんじゃないかと思う」。絆、縁から得た十分なパワーを、来年の更なる飛躍に繋げる。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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