井上尚弥が破壊した「軽量級は稼げない」の定説 30億円契約に破格報酬…戦いたいなら「来い!」
THE ANSWER / 2025年1月25日 7時43分
■井上尚弥が押し上げた軽量級市場
ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が24日、東京・有明アリーナでWBO11位キム・イェジュン(韓国)に4回2分25秒KO勝ちし、世界戦通算24勝の現役単独最多(歴代9位タイ)記録を打ち立てた。世界2位となる3度目の4団体防衛に成功。昨年11月にサウジアラビアの団体と30億円の契約を結ぶなど、長らくボクシング界にあった定説を覆してきた。そこには井上にしかできない理由がある。戦績は31歳の井上が29勝(26KO)、32歳のキムは21勝(13KO)3敗2分。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
◇ ◇ ◇
軽量級は稼げない。ボクシング界にあったそんな定説を覆した。
井上は、11月にサウジアラビアの国際娯楽イベント「リヤド・シーズン」と推定1900万ドル(約30億円=発表当時)のスポンサーシップ契約を締結。「反響も凄くあったし、日本のボクシング、軽量級でそういう契約ができることで夢を与えられたと思う」。階級間の“格差”を壊した超大型契約だった。
米国など海外では、より迫力のある重量級の方が人気。階級が上がるほど注目を浴び、ファイトマネーも比例する。2022年4月の村田諒太氏とゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の世界ミドル級王座統一戦は興行規模が20億円超。全17階級で最も重いヘビー級は数百億円に跳ね上がることもある。
一方、井上は下から5番目に軽いバンタム級時代、1試合のファイトマネーが1億円に達し、「破格」とされた。それが今年5月の東京ドーム興行は、ファイトマネーの他に放映権料やスポンサー収入、グッズ販売などの総額が10億円超に。大型興行を組めば、他の出場選手たちにも報酬や認知度向上の面で恩恵が生まれる。
井上の試合は海外ファンからも需要があり、世界配信が基本。人気と評価が高い理由は実力もさることながら「試合数」に違いがある。近年は年間2試合を続け、2025年は8年ぶりの3試合を計画。世界トップ中のトップのボクサーたちは2試合、または1試合しかしない選手が多く、3試合はハイペースだ。
試合後会見でベルトを持つ井上【写真:中戸川知世】
■なぜ、多くの試合ができるのか 大橋会長が驚き「メンタルもモンスター」
これを可能にする要因は、井上のスピードや防御技術にある。陣営の大橋秀行会長は「ほとんどパンチをもらっていません」と力説。2023年12月もリングに上がったため、13か月で4試合となった。
「パンチをもらったのは(昨年5月の)ルイス・ネリ戦でダウンした一発くらいですが、支障はないレベル。これが打ちつ、打たれつの試合だと難しい。試合期間が空くと体重が増えるけど、(年間3試合ペースの)今はそれがない。試合が終わってすぐに練習に来ていた。怪我がなければ年間3試合できます」
プロ6戦目から10年9か月、24試合連続で世界戦しかしていないのも異常。大橋会長は「メンタルもモンスター」と驚く。
「普通、世界戦は一試合、一試合が人生を懸けた勝負。それが何試合もあるのは、普通はプレッシャーになるものです。試合の緊張感が日常。とんでもないです。本人が『3試合できる』と言うのは、強がりではありません。もう12年もそばにいるのでわかります」
近年は資金力のあるネット配信に移り、興行規模が拡大。当初は「テレビじゃないと新規ファン獲得に繋がらない」と指摘されたが、爆発的な視聴数をマークしてきた。テレビ局の主催興行では1局でしか“番宣”できないが、ネット配信なら各局にCMが流れる。最近は「報道ステーション」や「news zero」など普段はボクシングと縁遠いライト層も視聴する番組で特集されるようになった。
一生、食うに困らない大金が手に入るだけあって、海外選手から対戦希望の声が止まない。井上は上の階級の選手に対し、「スーパーバンタム級に敵がいないから階級を上げろというのはおかしい話だし、やりたいんだったら『お前らが下げてこい!』という話」と強気でいられる。
昨年4月には「今や軽量級の本場はここ日本にある。試合が見たいのなら日本に来ればいい。日本のマーケット以上の物がアメリカにあるのなら喜んで行く。それだけの価値がここ日本にはある」ともXにつづっていた。
現状、モンスターが特別な存在だから実現できたことだが、本人の言葉通り次世代に夢を与え、切り拓いた功績は絶大だ。次に続く選手の台頭を本人も心待ちにしている。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)
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