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「障害者には親切にしなくちゃ、では大失敗」 車いすバスケの座学→体験→観戦=新たな教育のカタチ

THE ANSWER / 2025年1月31日 19時4分

「森ちゃんがんばれー!」の声援も受けてプレーした森谷幸生(背番号0)【写真:中戸川知世】

■車いすバスケットボール天皇杯

 車いすバスケットボールの天皇杯が31日、東京体育館で開幕し、1回戦ではNO EXCUSE(東京都ブロック第1位)が千葉ホークス(東日本第2次予選会3位)に61-51で勝利した。50回目の日本一決定戦。客席には手作りの応援グッズを持って声援を送る約60人の小学5年生がいた。熱烈な応援の背景には、インクルーシブ(包括的)な視点を育むための新しい教育プログラムがあった。

 NO EXCUSEの選手がリングを射貫くたびに、「オー!」「よっしゃー!」と元気な声が飛んだ。スタンドの一角で「ファイト!!」「必勝」などと書かれた画用紙を振ったのは、台東区立・谷中小学校の5年生約60人。「森ちゃんがんばれー!」と一際大きな声援を受けた森谷幸生(4.0)は、「本当に無邪気に楽しんでくれて、僕らが最初に大事にしていた感情を表現してくれる」と頬を緩ませた。

 大会前の交流が、森谷と子どもたちの関係性を作り上げていた。

 日本車いすバスケットボール連盟(JWBF)と日本パラリンピック委員会(JPC)が共同で実施する教育プログラムの一環で、NO EXCUSEから3人が大会前に同校を訪問。森谷もそのうちの1人だった。国際パラリンピック委員会(IPC)公認教材「I’mPOSSIBLE」日本版を活用した座学と、車いすバスケの体験会に加え、天皇杯を実際に観戦することでインクルーシブな視点を育む今大会からの新たな取り組みだ。


1回戦でレイアップシュートを放つ森谷【写真:中戸川知世】

 車いすバスケでは、選手の障害レベルに応じて持ち点が与えられる。最も障害が重い1.0から最も軽い4.5まで0.5点刻みで分けられ、コート上でプレーする5選手の合計が14点以内と定められている。児童たちは座学を通じて、様々な障害がある中でどうやって公平なルールを作っているかを考える。選手を迎え入れるにあたっては、校舎のバリアフリーマップを準備した。その過程も重要な学びだ。

 JPC事務局の安岡由恵ムーブメント推進課長は「『やっぱり障害のある人には親切にしなくちゃね、助けてあげなくちゃね』という結論が出てきたら大失敗」と明かす。激しく車いすをぶつけ合う車いすバスケでは、転倒は当たり前。それでも「誰の助けも借りずに自分たちの持っている能力を発揮している。それを自分の身の回りの社会でも実現するためにはどうするべきか」を考えてほしいと願う。

 机上で学び、実際に体験した後に、生で観戦するインパクト。「それが組み合わさった時に、ただ授業をやる、試合を見る、交流するだけではない掛け算が生まれるのでは」と安岡課長は期待する。9得点6アシストを挙げた森谷には何度も「森ちゃんカッコイイぞー!」と激励が飛んだ。子どもたちのヒーローとなった森谷は「僕らが描いていた1つの絵だったので本当に嬉しい」と相好を崩した。(THE ANSWER編集部)

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