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「そうか、土俵上がれないんだ」 大相撲断髪式で話題になった女性、時代を変えた15年前の元大関の熱望

THE ANSWER / 2025年2月5日 7時13分

徳勝龍の断髪式で見えた「時代」の変化とは(画像はイメージ)【写真:Getty Images】

■徳勝龍の断髪式で見えた「時代」の変化

 大相撲で2023年9月に引退した元幕内・徳勝龍(千田川親方)の引退相撲が1日、東京・両国国技館で行われた。断髪式には師匠の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)をはじめ、親方衆や角界関係者だけでなく、芸能人やアスリートなども出席。千田川親方の交流の広さがわかる1日だった。その中で注目されたのは、断髪式で女性出席者が鋏を入れた場所。SNSでも話題になり、時代の流れを感じさせる一幕だった。

 2020年初場所で、西前頭十七枚目という幕尻ながらも14勝1敗の内容で初優勝を果たした徳勝龍。歓喜の瞬間から5年、年寄・千田川襲名の引退相撲は両国国技館に多くのファン、関係者が詰めかけ大盛況だった。日本相撲協会公式Xや公式YouTubeチャンネルでも取り上げられ、さまざまな場面がクローズアップされた。一昔前では想像できなかった発信の多さで、国技館に行けなかった相撲ファンも楽しめるようになった。

 時代の変化といえば、断髪式の風景も様変わりした。土俵の上に置かれた椅子に紋付き袴姿の力士が座り、参加者が次々とマゲに鋏を入れていく。最後に師匠が「止め挟」を入れ、大銀杏を落とす、という流れ。ここに参加できるのは「男性」に限られていた。

 相撲界で土俵は女人禁制。2000年には大阪府知事に就任した太田房江氏が春場所の千秋楽に府知事杯を手渡したい、と協会に申し入れたが、当時の大阪場所担当部長だった間垣親方(元横綱・二代目若乃花)がこれを断り続けたのも「神事」「伝統」を重んじたからだった。結局、太田府知事が辞退し、男性の副知事が代わりを務める形となったが、男女平等や女性差別といったデリケートな話題が叫ばれ始めていた時代背景もあり、世間では大きな議論を生んだ。

 とはいえ、断髪式は力士にとっての一大イベント。これまでお世話になってきた人に鋏を入れてもらいたいというのは自然の考えだが「伝統」がこれを阻んできた。そこに一石を投じたのが元大関・千代大海(現九重親方)だった。2010年秋場所後に行われた断髪式で、母に鋏を入れてもらうことを熱望。実際に千代大海は断髪式の途中で土俵を下り、母に鋏を入れてもらった。

 以降、断髪式では最初に土俵下で女性出席者に鋏を入れてもらってから、土俵上に場所を移して最後は師匠に止め挟を入れてもらうという流れも見られるようになった。今回の徳勝龍についても、お笑い芸人トリオ・3時のヒロインの「かなで」や、人気アイドルグループ「AKB48」の正鋳真優(まさい・まゆう)、女子プロレスラーのDASH・チサコなどジャンルの違う女性出席者たちが鋏を入れた。

 X上でも「そうか、女性は土俵上がれないんだ」「土俵の下で切ってる?」「やはり女性は土俵に上がれないのですね」「女性が鋏を入れるときは、土俵の下でやるんだなぁ」などの声があり、断髪式の場所は話題になった。だが、25年前の太田府知事の時とは違い「なぜダメなんだ」「協会はけしからん」といった類の論調は大幅に減った。

 断髪式がSNSで発信されるのは「時代」の流れ。相撲界における女人禁制問題という話題が声高に叫ばれなくなってきたのも、多様性を尊重する「時代」を映し出しているように見える。(THE ANSWER編集部・瀬谷 宏 / Hiroshi Seya)

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