1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

「ちょっと焦げ臭くない?」 カメラマンが気づいた匂いの正体、必死に撮った車いすバスケの魅力

THE ANSWER / 2025年2月9日 7時43分

ボールを拾ってエンドラインからパスする埼玉の北風大雅。勢いよく回った車輪は少しブレた【写真:中戸川知世】

■THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム

 2日まで東京体育館で行われた車いすバスケットボールの天皇杯。決勝では神奈川VANGUARDS(関東ブロック1位)が埼玉ライオンズ(東日本第2次予選1位)に61-41で3連覇を果たした。初めて車いすバスケを生で見たカメラマンは、コートサイドで匂いと風を体感。ゴール裏で見た魅力を伝えたいとシャッターを切った。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

 異質で、どこか心地よくもある匂いが鼻をついた。1月31日の大会初日。1回戦の撮影へコートに向かうと、アップ中の選手たちが車いすを巧みに動かしていた。キュッ、キュッ。車輪が体育館の床を鳴らす。映像で見たものより、切り返しが速い。車体のぶつかり合いも激しい。見入っていると、あることに気付いた。

「ちょっと焦げ臭くない……?」

 近くで何かが燃えているのか。そう思ったが、車いすが目の前を通った時にわかった。車輪と床の激しい摩擦だ。競技に馴染みの人たちには当たり前かもしれないが、初めての私は速度と力強さに驚かされた。

 試合中、ゴール裏の撮影エリアでそのスピードを目の当たりにした。こぼれ球を追う選手が勢いよくこちらに向かって来る。ボールはコート外へ消えたが、選手は勢いそのまま真っすぐ近づいて来た。「ぶつかる!」。ファインダーから目を離してのけぞった。しかし、必死の自分をよそに選手は事もなげ。十数センチ先をほぼ直角に曲がって戻っていった。

 過ぎ去った1秒後にふわっと風が来た。ひしひしと感じた速さと繊細なコントロール。車いすは制限が多いと思っていたが、選手たちは縦横無尽だった。


片輪を浮かせてゴールを狙う北風(中央)【写真:中戸川知世】

■中学時代に車いすバスケを体験、だからわかる選手の凄さ

 中学時代にバスケットボール部だった私も、部活動の一環で車いすバスケを体験したことがある。女子中学生は6号球だが、車いすバスケは一回り大きい7号球。脚の力は使えず、腕力だけで放つシュートはゴール下でもリングにすら届かなかった。

 しかし、選手たちはレイアップ、フリースロー、3ポイントラインからも次々とシュートを沈めていた。時には片輪を浮かせて空中のボールを奪い合う。キャッチで響かせるパンッという音は迫力満点。トップ選手なら普通なのだろうが、その凄さを改めて痛感させられた。

 そんな魅力を収めたい。選手が目の前を通る瞬間をゴール裏から狙った。シュートを決められた埼玉の北風大雅(4.5)がエンドラインへ球を拾いに来た。3日間で4試合目。左腕のテーピングが疲労を物語った。すぐさま攻撃へ。近くまで写る広角レンズで収めたが、予想以上に勢いよく回った車輪は少しブレてしまった。

 放送で見ただけではわからない臨場感を多くの人に伝えたい。是非、この匂いと風を確かめに会場に足を運んでみてほしい。(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください