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1週間で消える「雪の大谷翔平」を作る72歳の匠 アメリカで大反響も「少し残念」こぼれた本音

THE ANSWER / 2025年2月9日 8時13分

さっぽろ雪まつりに大谷翔平&デコピンの雪像が登場【写真:鈴木博詞さん提供】

■さっぽろ雪まつりで大谷&デコピンの雪像が話題に

 今年も北海道に現れた、巨大なスーパースターが話題になった。札幌市で4日から開催中の「さっぽろ雪まつり」に、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手と愛犬デコピンの雪像が登場。市民によるチーム「きたきつね」の作品で、中心となって率いたのは72歳のベテラン監督・鈴木博詞さんだ。内閣総理大臣賞にも輝いている肖像画家に、作品に関する思いを聞いた。

 ランドマークタワーのさっぽろテレビ塔をバックに、にっこり笑う巨大な大谷の雪像。隣には愛らしくボールを咥えたデコピンも再現されていた。高さ2メートルで作業は5日がかり。多い日には10人ほどが尽力して出来上がった。

 実物により近づけるため、手は抜けない。鈴木さんは連日7時間ほど雪を削り、自宅で仮眠をとった後は夜通しパソコン作業。粘土で作った模型と雪像の写真を比較し、修正部分を地道に見つけていった。期間中の睡眠時間は3時間ほどだった。

「大雑把に作るだけなら必要のない作業だけれど『似ている』と言ってもらえるために。目の幅が1~2センチ狂っても変に見えてしまう。結構シビアです。何度も幅を広げるとか、上下に移動するとか、数センチ単位のズレを直して本物に近づけます」

 過去には大坂なおみ、羽生結弦、澤穂希、リーチ・マイケルなどを題材にした。「前年に最も話題となったスポーツマン」を中心に選ぶが、該当する人物がいない年にはピコ太郎や小島よしおなどをチョイス。数々の名作を生んでいる。

 大谷を作るのは3年連続。外国人観光客にも知られているスター選手であることも選んだ理由としては大きいが、なにより日本で話題となったアスリートとして右に出るものはいない。鈴木さんも「来年は(大谷以外の)誰かが出てきてほしい」と語るほどだ。


昨年、雪像をバックに撮影した鈴木さん。内閣総理大臣賞を受賞した肖像画家だ【写真:鈴木博詞さん提供】

■巨大な雪の大谷は「1週間で壊されるのが残念」

 雪像チーム「きたきつね」は約40年の歴史がある。企業の組合活動で年に一度、社員が集まって一つの雪像を作ってきた。鈴木さんは札幌への転勤をきっかけに、2002年から主導役を担っている。

 退職後に肖像画家となり、昨年の「第70回全日肖展」では内閣総理大臣賞を受賞した。「人の顔に興味がある。その延長線上で、雪像も人物を作っています」。本物に作品を近づけることに全てのエネルギーを注ぐ。「そっくり」の言葉は嬉しくてたまらない、生きがいだ。

 さっぽろ雪まつりの大作の魅力は「5日間であの大きさが作れるところ」にあるとも語る。

「彫刻であの大きさのものを作るとなれば、何年がかりになる。それを5日間で作れる手軽さがいい。ただ、1週間で壊されちゃうのが悲しいところです」

 粘土の模型だけが残るが、本当は実物のサイズを残したい。「発泡スチロールでもいいので、あの大きさのものを飾れる場所が作れたら」。山の上に小屋を建て、美術館にすることを夢見ている。

 5日がかりで作り上げ、1週間で消えていく。儚さも魅力の大谷の雪像は、海の向こうでも話題になった。

 MLB公式Xなどで、今回の雪像が写真とともに紹介され100万件以上の表示がなされるほどの反響に。「これはクールだ」などと称賛の声も多数集まったが、鈴木さんは「少し残念」と本音もこぼす。


粘土で模型を作り、比較しながら雪像を作り上げていく【写真:鈴木博詞さん提供】

■「批評するなら正面の写真を…」拡散した違った印象

「(投稿されていた写真が)デコピン側から撮った写真で、ちょっと(大谷が)太って見える角度になってしまっていたんです。批評するなら正面の写真を使ってほしいな……というのが本音でした」

 正面から見られることを想定にした作品。向かって右側、角度がついた場所からの写真が拡散されたことで、違った印象を受けた声もあった。

 ただ、現地を訪れた見物人は一様に驚いたリアクションを見せてくれる。何よりの活力だ。72歳になり、体力的に大変でも仲間がいるからやり遂げられる。

「力を使うところを、誰かが代わりにやってくれたり。仲間との共同作業なので、一緒に作れる形じゃないといけない。みんなで一つのものを作るのは凄くいいこと」

 自宅には大谷の粘土模型が複数残っている。「世界のヒーローで、僕にとってもヒーロー。HR打った後、腕をあげて指差しながら走っていくシーンの顔も作った。なんぼでも作りたくなります」。二刀流の古巣・北海道から、今年も日米をにぎわす大活躍を期待している。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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