那須川天心、VS前世界王者モロニーは“頭脳戦”描く「僕はIQが高い。負ける気がしない」 調整は順調アピール

公開練習に登場した那須川天心【写真：浜田洋平】

■興行はAmazon プライム・ビデオで生配信

　ボクシングのWBOアジアパシフィック（AP）バンタム級王者・那須川天心（帝拳）が12日、都内の所属ジムで練習を公開した。24日に東京・有明アリーナの同級ノンタイトル10回戦で、前WBO世界同級王者ジェーソン・モロニー（オーストラリア）と対戦。ボクサー転向6戦目で過去最強の相手を迎え、近い将来の世界挑戦に向けて弾みをつける勝利を誓った。戦績は26歳の那須川が5勝（2KO）、34歳のモロニーが27勝（19KO）3敗。

　那須川は1月中旬に来日したメキシコ選手3人らと100回以上のスパーリングで調整してきた。この日はWBC世界バンタム級シルバー王者で同級7位のアレハンドロ・ジャイル・ゴンサレスと3回を披露。右ジャブで相手をコントロールしながら主導権を握り、左ボディーやストレートなどを当てるなど激しく打ち合った。世界挑戦への壁となるモロニー戦まで12日。大粒の汗に順調ぶりが見えた。

「体調も抜群。これに懸けてきた。毎日自分と会話をしていく作業。前戦からバランスもそうですし、上半身と下半身の動きを合わせてきました。前回は攻めるところで攻め切れなかったり、自分のタイミングで前に出られなかったりした。これまで基本的には相手の動きを待って動いていたけど、今度は自分から動く。一から学んできたものを試合で出したい」

　モロニーは2020年10月、WBAスーパー＆IBF世界バンタム級王者だった井上尚弥（大橋）に7回KO負け。再起後5連勝で23年5月に世界王座に就いた。初防衛後、昨年5月に東京Dで武居由樹（大橋）に判定負けし、王座から陥落。今回が再起戦となる。技術に定評があり、穴のないバランスの取れた強敵に対し、那須川の実力が試される。

「相手どうこうではない。自分のできないことをできるようにする。自分の手札を増やす練習をしてきた。どういう状況になっても大丈夫。攻めてきても来なくても大丈夫。そう思えるトレーニングをしてきた。中間距離の戦いになると思う。そこを制した方が勝つ。

　遠距離、近距離の2択で見る人が多いけど、その間が大事。その間でどう詰めたり、引いたりするか。相手はそれができるので、そこをどうするか。相当頭を使う試合になる。僕はIQが高いですから（笑）。負ける気がしないです」

　モロニーの高い防御技術には「僕より何倍もボクシングの経験値がある」と警戒した一方、「僕だからできる駆け引き、ボクシングで見ない動きができるのが那須川天心。そこを存分にモロニー選手とお客さんに見せたい。何してんだろうと思うような展開をつくりたい」と描いた。

　那須川は昨年10月の前戦で大差判定勝ち。転向5戦目で初挑戦だった地域タイトルを獲得した。現在はWBA2位、WBC3位、WBO3位、IBF13位と主要4団体全てで世界ランク入り。陣営は今年秋以降のプロ8～10戦目に世界初挑戦させることを想定してきた。モロニー戦をクリアできなければ、世界挑戦は遠のくことになる。

「何が来ても大丈夫なように用意してきた。打ち合いになるかもしれないし、距離の取り合いになるかもしれない。そこは当日の僕に任せる。なるようになります」

　元世界2階級制覇王者の粟生隆寛トレーナーも「（前戦から）それぞれのレベルアップと、あとは前の手の使い方を重点的にやってきました。理由は単純に試合をつくるのは前の手ですし、相手にどういう印象、プレッシャーを与えるのか。前の手が大事になるのでそこのレベルアップをしてきた。相手が来ても来なくても対応できる準備をしてきた。どうなろうと心配していない」と期待した。

○…同興行では、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人（M.T）が同級6位ダビド・クエジャル（メキシコ）と3度目の防衛戦を行う。WBA世界同級王者・堤聖也（角海老宝石）が、元WBC世界フライ級王者でWBA世界バンタム級4位・比嘉大吾（志成）と初防衛戦。他のバンタム級王座はIBFに西田凌佑（六島）、WBOに武居由樹（大橋）が就き、日本人が主要4団体を独占している。（THE ANSWER編集部）