TKOで世界を獲った村田諒太の涙の理由。その語り尽くせぬ激闘と苦悩の日々

THE PAGE / 2017年10月23日 5時41分

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TKO勝利でWBA世界ミドル級王者となった村田は泣いた(写真・山口裕朗)

プロボクシングのWBA世界ミドル級タイトル戦が22日、東京の両国国技館で行われ、同級1位で、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(31、帝拳)が、王者のアッサン・エンダム(33、フランス)に、7回終了後にTKO勝利した。そこには言葉で語り尽くせぬ激闘と苦悩の日々があった。

 チャンピオンのエンダムはコーナーを立たなかった。
 「まだできる。続けさせてくれ」
 「いやもうダメだ。動けていない。これ以上やって大ケガにつながってはいけない」
 王者陣営のチーフトレーナーは、試合続行を許さなかった。
 5ラウンドを境にコーナーに戻る度に「やる」「もう無理だ」の問答を繰り返していたエンダムの陣営はついにギブアップ。それを認めた名レフェリー、ケニー・ベイレスは両手を大きく交差させTKOを宣告した。
 両手を上げて村田諒太は泣いた。
 右手をぐるぐると回してリングを一周しながら顔をくちゃくちゃにした。
 「泣いていません」。場内インタビューでは、そう語ったが、これも彼流のユーモア。
 泣いていたよな? 「追い求めていたことが叶う嬉しさ。説明いります?」
 エンダムの棄権は頭にあったという。
 
「諦めるかもしれない、とは思っていたんです。ジャブで嫌な顔をしていたし、スタミナもゼーゼーしていました。チャージすれば、ギブアップに、もってけるかなと少し予想もしたけれど、あきらめない選手だと思っていたので、びっくりして、嬉しかった」

 5月の不可解判定に敗れた試合前には試合に勝った夢を見ていた。

「だから、これ夢じゃないよね?って」
 
 エンダムは戦略を変えてきた。
 予想に反してゴングと同時にインファイトを仕掛けてきた。
「近い距離で右へ回った。村田の得意の右を受けないように考えたんだ」
 距離をつめてクリンチ。前回の試合でダウンを奪われた村田の右ストレートを封じにきた。
 だが、村田は「びびってんのか。警戒してたんだろう」と、そのエンダムの戦略変更に弱さを見た。
 戸惑いなどない。
「村田がインファイトが不得意なことを知ってやってきた。再戦は、お互い色々と考えてくるものだが、こっち以上に相手が考えていた。こっちは大変だったが、向こうも大変だった。だが、村田は、すぐにジャブと右のショートで対応できた」と、本田会長。プレスをかけてボディを乱打。
 2ラウンドに入ると、エンダムは、前回と同様、少しフットワークを使い始めたが、3ラウンドからは村田の右ストレートから左ボディのコンビネーションブローがさえはじめる。
 村田の距離になって右ストレートがヒット。4ラウンドには、右のフックをもらうシーンがあったが、打ち終わりに打ち込む右ストレートにエンダムはバランスを崩す。特に左のえぐるようなボディが効果的で、完全に試合を村田が支配し始めていた。
 5ラウンドには、右がカウンターとなり、6ラウンドは、少し甘くなった王者のガードの上から右ストレートを思い切り叩き込むと、エンダムは、思わずガクっと腰を落とした。

「3、4ラウンドからぜーぜー言っていた。5,6ラウンドは(パンチが)効いたじゃないですか?」
 

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