中国天才建築家の“ブスカワ革命家“としての日常に迫る『アイ・ウェイウェイは謝らない』

tocana / 2013年12月7日 14時15分

 日本では森美術館での個展を記憶されている方も多いだろうアイ・ウェイウェイ。彼は様々な顔を持っている。アーティストとしてはロンドンのテート・モダンでの大規模個展、建築家としては北京オリンピックの象徴となった「鳥の巣」のデザイン、活動家としては北京オリンピックや四川大地震に対する政府のずさんな対応を批判して中国当局に81日間拘束される。これらの活動をTwitterでリアルタイムに呟きながら世界中の人々を巻き込んでいった彼。

 20代のアメリカ人女性監督アリソン・クレイマンは2008年12月からアイ・ウェイウェイに密着してドキュメンタリーの撮影を始める。

 すばらしいタイミングだった。

 まず2009年に、アイ・ウェイウェイは活動家の裁判で証言するために訪れた成都で、警察に頭部を殴打される。その後、個展のために訪れていたミュンヘンで大脳内出血と発覚し緊急手術。入院中の様子ももちろんTwitterで発信していた。

 2010年にはロンドンのテート・モダンで、中国陶器で有名な景徳鎮の陶工が一つ一つ手作りした一億粒のひまわりの種を敷き詰めるインスタレーションを制作し絶賛される。ところが、翌2011年、政府を批判し続けるアイ・ウェイウェイは、上海に新しく建てたスタジオを強制的に政府から破壊される。

 彼は破壊の決定が下ってすぐに「河蟹(ホーシエ=カニ)」を食べるパーティを自宅兼スタジオで開催した。

 「河蟹」は中国語では「和諧」と同じ発音、これは「和諧」(和解)の名の下に活動家を弾圧していた政府が掲げる「和諧政策」を皮肉っているのである。さらにスタジオが破壊される様子ももちろんTwitterで中継した。当然、中国当局は彼に目をつけていて、アイ・ウェイウェイの自宅兼スタジオ周辺に監視カメラを設置する。ついに、アイ・ウェイウェイは81日間も拘束されることになる。勾留中の様子はさすがに写真には撮れなかったようだが、2013年に制作されたヘビーメタル・アルバムのミュージック・ビデオ(http://www.youtube.com/watch?v=4ACj86DKfWs)ではそのときの様子を伺わせる映像がある。

■ウェイウェイのぽっちゃり感が功を奏した社会派ドキュメンタリー

 このようなアイ・ウェイウェイの活動を振り返るドキュメンタリーというとどうも重苦しく、見た後に「ふーっ」と息をついて、現代政治の複雑さを考えさせられるものように思える。たしかに、彼の置かれた状況は非常に過酷だし、生い立ちも過酷だ。彼の父で詩人のアイ・チンは、実際に当局と戦ったために強制移住、強制労働を課せられており、そのためにアイ・ウェイウェイは幼少期を新疆ウイグル自治区で過ごしている。ゆえに、映画の中に映し出されるアイ・ウェイウェイはたしかに革命家として過酷な状況を戦っている戦士だ。

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