やはり植物は賢かった!!  リスクを回避しながら生きる植物の姿が研究で明らかに

tocana / 2014年3月18日 18時30分

 ずっとひとつの場所にいて動かないと、「根が生える」なんていったりしますが、植物はまさにひとつの場所から動きませんね。われわれ動物は、周りの状況を観察して行動を変えられますが、雨の日も風の日もひたすらたたずむ植物は、非常に受動的な生き方といえます。しかし、植物も細かな状況を把握し、内部の行動を戦略的に変化させているということが最近の研究で判明しました。3月12日に「New Scientist」が詳細を報じています。

 ドイツのゲッティンゲン大学のカトリーヌ・マイヤー博士らの研究班は、「ゼレシュク」という、中央アジアやヨーロッパ等に分布しているメギ属の植物の、寄生虫への対応について調査を行い、そのスマートな反応を科学雑誌「The American Naturalist」にて報告しました。


■植物:寄生虫の攻撃回避方法

 「ゼレシュク」は、果実に1つか2つの種子を持っているのですが、そこに寄生虫であるミバエというハエが、果実の皮を破り、種子に寄生しようと侵入してきます。マイヤー博士らは、この植物の果実を約2,000個集めて調査を行い、種子の数や寄生の有無などを確認しました。

 その結果、ゼレシュクは果実の種子が寄生された場合、寄生虫を殺すためにその種子への養分供給を止めることがあるとわかりました。植物は、資源が不足している時に、種子への養分供給を止めることは知られていましたが、それと同じような行動を、種子が寄生された際にも起こしているようです。

 そして注目すべきはその行動のあらわれ方で、2つの種子が入った果実のうち1つの種子だけが寄生された場合、寄生された種子はその75%ほどが発育を停止していたのです。この数値は、1つしか種子が入っていない果実の場合が5%ほどであったのに比べると、非常に高い数値です。

 これは、2つの種子が入った果実の場合は、寄生された種子の発育を止めて寄生虫を殺さないと、もう1つの種子の方にも影響を与えてしまう危険性があるからだと考えられます。それに対して、1つしか種子がない果実の場合は、その種子が寄生されたからといって、その発育を停止しても、確実に繁殖ができなくなるだけです。それならば、寄生虫が自然に死ぬというわずかな可能性に賭けた方が、まだ多少は繁殖が期待できるということで、発育を止めないようです。

 この結果に、カナダにあるマックマスター大学のスーザン・ダドリー博士は驚いています。「時間などの要因で、感染症への防衛方法を変える植物は知られていますが、今回の反応はそれより複雑です。種子の数、寄生状況、そしてもう一方の種子へのリスクなどによって行動しています、非常に賢いですね」

 いつも何も言わずにただそこにいて、なすがままに生えているように見える植物も、野生を生き抜いているだけあって、実は様々なことを感知し、合理的な判断をして暮らしているようです。人間にできないことを平然とやってのける植物、そこにシビれてあこがれてしまいそうですね。
(文=杉田彬)

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