父親に南京錠で口を塞がれ、焼かれた4歳の少年 「悪魔の子」と呼ばれて=ナイジェリアが抱える闇

tocana / 2014年3月26日 15時0分

 善悪。それは人の心の中で天秤のように振り続けられています。中庸を保っていると思えば、時に善に、時に悪に、人の心とは移ろいやすいものです。そんな中、ナイジェリア屈指の都市、ラゴスで「悪魔の子」と呼ばれ幼児が殺された事件が起きたと、米・ニュースサイト「Daily mail」で紹介されました。

 果たして「悪魔の子」とは何なのか。事件の顛末を覗いてみましょう。

■ラゴスの悪夢

 ラゴスのとある一家で起きた事件が発覚したのは2014年2月10日。母親が市場から帰ってくるとそこに待っていたのは、無残な姿で死に絶える我が子の姿でした。

 一家を襲った突然の不幸。その不幸は何と自身の夫であるクリス・エルヴィスの手で行われたというのです。記事によると、クリスは自分の身の回りで起きた不幸を、4歳の息子が「悪魔の子」であるからと考え凶行に走ったといいます。

 おぞましきはその手口。アイロンで体中を焼き、殴打を繰り返し、子どもが叫ばないようにその口を南京錠で閉ざして、最後は死体をドラム缶に入れてロックしたそうです。

 母親の通報ですぐさま逮捕されたクリス・エルヴィス。現地の調べによるとクリスの精神状態は"正常であった"と述べられています。

 クリスの身の回りで起きた不幸というものが、どれほどのものだったのかは、まだ明らかになっていません。しかしここまでの残忍な手段を取った彼もまた「悪魔の子」と呼ばれる存在だったのかもしれません。

 ではなぜ、このような事件が起きてしまったのでしょうか?


■ナイジェリアが抱える闇

 近年、ナイジェリアにおいて、子どもを対象とした魔女狩りが増加傾向にあるといいます。2009年には10歳の少年が父親から黒魔術の嫌疑をかけられ、火あぶりになりました。その時も、父親は今回の事件と同様に、「石油会社から解雇されたのはお前のせいだ」と、自分の不幸を子どものせいにして虐待したそうです。こうした事件の背景には、過激なキリスト教思想や、「貧困や疫病は悪魔の仕業だ」として悪魔祓いで金を取る金儲け主義の牧師による影響があるといいます。

 さらに、ナイジェリアは北部と南部での宗教対立問題も抱えています。北部は貿易を通じてイスラム教が広まり、もともと精霊信仰が強かった南部は、ヨーロッパの影響を受けて、キリスト教信者が多く暮らしています。2014年2月25日には、「西洋の教育は罪」を意味するイスラム武装勢力「ボコ・ハラム」が、寄宿学校を襲撃し、就寝中の子ども59人を殺害した事件も起きました。殺し方は、生き埋め、喉を切り裂く、火あぶり、など残虐極めるものだったといいます。ナイジェリアの大統領及び軍隊は、ボコ・ハラムによるこうしたテロを防ぐために対策をとってはいるものの、「ボコ・ハラム」以外にも、社会に不満を抱いた学生たちが秘密カルト団を結成し、犯罪集団化するなどの問題を抱えており、結果が出ないまま、いまだに多くの犠牲者を生んでいるといいます。

 豊かな原油に恵まれ、石油産業が発達したナイジェリアですが、石油以外の産業は未だ発達せず、国民の7割は貧困層。心のよりどころは「宗教」です。本来であれば、人々の心の支えになるはずの宗教ですが、この国においては「悪者探し、責任の押しつけ、対立、テロ」といった負の効果を生み出しているようです。こうした事件の背景には、その国が抱える大きな問題が潜んでいるのですね。
(文=石井洋平) 

参考:「Daily Mail」「International Business Times」ほか

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