祭りのテーマは「苦行」 ― ヒンドゥー教徒の祭り「タイプーサム」が痛すぎる!

tocana / 2014年9月26日 13時0分

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 日本も秋の祭シーズンだが、この一風変わったヒンドゥー教の祭りをご存知だろうか?

 太鼓の音に人々の群れ、そして鮮やかな色合いの飾りや民族衣装...。一見したところ、これはどこにでもある祭りのようだが、よく見ると、ほとんどの人々が身体に何かを突き刺しているのである。そう、この祭りのキーワードは「苦行」なのだ。

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■身体的苦行を課す「タイプーサム」祭

 この祭りの名は「タイプーサム」。ヒンドゥー教の軍神である「ムルガン神」の母「女神シバ」が、凶悪なデーモンに打ち勝つために息子に槍を与えた...という、故事を祝う祭だ。

 祭りにはカースト制度における全階級のヒンドゥー教徒が参加。ムルガン神への信仰の印として、身体的な試練や苦行を自らに課すのだそうだ。

「カバディ(kavadi)」と呼ばれる装飾された木の祭壇を自分の肩に乗せながら運ぶ者、ポットまたは真鍮製水差しを頭の上に乗せる者、頬を鉄串で突き刺す者、地面にひれ伏す者、または踊りながら階段を上る者もいる。踊っている信者の中には、背中に金属製の鉤を突き通している者もいるし、槍で頬や舌を突き通している者もいる。

 彼らは一体なぜこのような痛みに耐えることができるのだろうか?


■なぜか出血も痛みもない!?

 写真を見る限りかなり痛そうなのだが、信者達はトランス状態に入るので、身体的な痛みは感じないそうだ。そして不思議なことに、傷口がぽっかりと開いているにもかかわらず、出血もなく、傷跡も残らず完全に治るそうだ。しかも、消毒剤などは一切使用せず、ただ灰をこすりつけているだけ。これもやはり一種の催眠状態から来るものなのだろうか? 顔や体に鉄串を刺している信者の周りは、家族や友人が取り囲み、チャント(祈りの言葉)を口々に唱えながら、寺院までともに歩きサポートするのだが、その祈りの効果もあるのかもしれない。

 ちなみに、タイプーサムはインドで祝われるだけではなく、1800年代にはインドからの移民がシンガポールとマレーシアでも始め、より過激さを増した祭りとして定着した。中でもマレーシアのバツー洞窟には、世界で2番目に高いムルガン神像が祭られている有名なヒンドゥー寺院があり、そこには150万人近くの信者が訪れる。タイプーサムはその年の暦によって決められ、1月末か2月初めに行われる。一度はこの目で実際に見てみたい祭である。
(文=美加リッター)

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