米研究グループ、ヒトの知能を低下させる「ATCV-1ウイルス」を発見

tocana / 2014年11月29日 7時30分

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 アメリカの、細菌を研究する科学者チームが、「かなりの割合の人々が、人間の脳の働きを低下させる可能性のあるウイルスに感染している」という研究論文を発表し話題を呼んでいる。

■藻類に感染する細菌「ATCV-1ウイルス」

「PNAS Journal」に10月3日付けで発表された研究論文によると、米国のジョンズ・ポプキンス大学とネブラスカ大学の共同研究チームは、人間の体に長期に渡り潜伏する細菌の研究を行っている際、偶然、「ATCV-1ウイルス」と呼ばれる細菌をノドの粘膜に発見。検証の結果、そのウイルスの遺伝子が、湖や川など、淡水に発生する藻類に感染する細菌と同じものであることを確認したという。

 その後、ウイルスに感染している患者と、そうでない者の間で「知覚分析テスト」を行ったところ、感染者のスコアは10%程度も悪く、ウイルスに感染すると「脳の働きが鈍くなり」「学習能力が低くなる」ことが明らかになったというのだ。

 さらに研究チームは、マウスの口からウイルスを与える形で感染を試み、健康なマウスと、ウイルスを与えられたマウスで「迷路の知能テスト=出口を探し当てる時間を計測」も行っている。結果は、感染しているマウスは、健康体のマウスと比べると、総じて出口にたどり着くまでの時間が10%ほど長く、また裏道や近道を探そうとする努力をあまりしないことがわかった。

 これらの結果から、研究チームは「ATCV-1ウイルス」はヒトやマウスの海馬に影響を与え、脳の働きを低下させる作用がある、と考えているそうだ。

 ちなみに研究対象となったボランティア92人のうち40人(43%)のノドで感染が見つかっていることから、かなりの割合の人間が感染しているにもかかわらず、感染経路が明確になっていないことも明らかになった。藻に発生する細菌のため、水泳などをする人が感染しやすいかというと、そんなこともなく、また人間同士、動物同士で感染することは考えにくいのだという。

 研究チームは「ATCV-1ウイルス」のような細菌の発見は、人間の体の中に長期にわたって潜伏している一見無害な細菌が、実は様々な作用を引き起こしている可能性を示す、分かりやすい例だとしている。チームリーダーのヨルケン博士は「わたしたちはこの細菌の発見により、人間の知能のレベルを遺伝子レベルで向上させる可能性について、引き続き探っていきたいと思っています」と語っている。

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