左利きは稼ぎが少なく、認知能力も低い!? 最新研究で崩壊した「左利き神話」

tocana / 2014年12月9日 19時0分

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 "左利き"に対して、どんなイメージを持っているだろう? 「右半身をつかさどる左脳は分析力や論理的思考力に優れ、左半身をつかさどる右脳は直感や創造力に優れる」という説が広く浸透しているため、「左利きは天才肌の芸術家タイプに違いない」と考えていた人が多いのではないだろうか。

 しかしこのたび、左利きと右利きの人の違いについて、これまでの通説を一蹴する驚くべき報告がなされた。なんと「左利きの人は生涯賃金が少なく、認知能力も低い傾向にある」というのだ。今月2日付の英紙「The Daily Mail」をはじめ、複数の海外メディアが報じた最新の研究成果についてお伝えしよう。


■左利きのイメージ、崩壊

 学術誌『Journal of Economic Perspectives』上で驚愕の研究成果を発表したのは、米・ハーバード大学の経済学者、ジョシュア・グッドマン教授だ。英米の47,000人を対象とした綿密な調査の結果、教授は左利きの人と右利きの人の違いについて、統計的に有意な差異を見出したという。

 それによると、左利きの人は生活や仕事で不利な立場に置かれる傾向にあり、右利きの人よりも生涯賃金が実に12%ほど少なくなるというのだ。さらに左利きの人は認知能力が低くなり、精神面や行動面に問題が生じる可能性も高いという。特に左利きの子どもは、右利きの子どもと比べて学習障害や失読症を抱えるケースが多いようだ。


■原因について、教授の仮説

 利き手によって前述のような差異が現れる謎について、今回の研究が解き明かすことはできなかった。しかしグッドマン教授は、とある仮説を立てている。

 実は今回の研究では、子どもと母親の両者が左利きだった場合、子どもの認知力に影響は見られないことが判明した。さらに不思議なのは、右利きの母親から生まれた左利きの子どもと同様に、左利きの母親から生まれた右利きの子どもにも、認知力の低い傾向が見られることだった。つまり、子どもの認知力に影響が現れたのは、母親と利き手が異なる場合だったのだ。

 これらを踏まえた上で、教授は「利き手がどちらであるかということ以上に、母親との利き手のマッチングが重要なのではないか」とし、さらに「母親と利き手がマッチしない場合、子どもは母親の行動を真似して学習することが難しくなる」ため、認知力の低下が起きるのではないかとした。


■右脳と左脳に違いはあるのか?

 現在までのところ、利き手は後天的な要因で決まるものではないことが判明しているが、なぜ左利きと右利きが存在するのか、また左利きが少数である理由など、多くは謎に包まれたままとなっている。胎児の段階で、何らかのストレスが子宮にかかった結果ではないかとの説もあるが、確実なことは研究の進展を待たねば分からないだろう。

 左利きの人間は、大昔から現在に至るまで様々な言われ方をしてきた。中世ヨーロッパでは「悪魔が取り憑いている」と考えられていたものが一転、現在では右利きよりも才能に恵まれているとの説が浸透している。しかし、左利きが才能に恵まれているというこの説は、米国の大統領に左利きが多いことから囁かれ始めたもので、「血液型によって性格が違う」という説と同様、医学的根拠のないものであるとの指摘もあるようだ。

 今回のグッドマン教授の研究結果も併せて考えれば、少なくとも、利き手によって人間の能力に差異が生じる可能性は低いということが言えるのかもしれない。


※画像は、writing / Vassilis (Flickr, CC BY-SA 2.0)

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