ねじれすぎた娘 ― 先天性脊柱側弯症の困難=インド

TOCANA / 2015年12月18日 9時0分

写真

 英紙「Daily Mail」(11月27日付)によれば、インドのニューデリー郊外に住むプリーチ・クマリ・ライさん(17歳)は、家族に囲まれ、幸せな少女時代を過ごしていたという。

 だが8歳になったある日、突如として背中に大きなコブが隆起し、背骨がねじれ始めた。身体は徐々に片方へと歪みだし、まっすぐに座っていられなくなってしまったほどだ。生活は一変、それまで当たり前にできていたことが困難を極めるようになった。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2015/12/post_8281.html】


■背骨がS字型にねじ曲がりはじめた

 彼女の両親であるディリップ・ライさん(45歳)とミーナ・デヴィさん(40歳)は、すでに4人の息子を亡くしていたため、娘の身体に原因不明の異常が現れた時は、目の前が真っ暗になったと話す。後でわかったことだが、プリーチさんは重度の奇形を持つ先天性脊柱側弯症だったのだ。

 軽度の湾曲症はさほど珍しくないが、彼女の場合は背骨がS字型にねじ曲がり、服の上からもそれとわかるほど深刻なものとなっていた。

 溶接工のディリップさんは娘を連れ、ニューデリー中の病院を駆けずり回る日々を送った。しかし、10人以上の医者から「手の施しようがない」とサジを投げられる結果に。重度の側弯症の場合、手術が一般的だが、プリーチさんのケースは、あまりに危険が伴った。

「これまでずっと医者たちに『リスクは承知』と伝えてきました。『麻痺が残っても構わない、心の準備はできている』って。でも、だれも手術を引き受けてくれませんでした」(プリーチさん)

 しかし2012年、プリーチさんの願いが通じたのか、ニューデリーのアポロ病院で、ラダ・ゴパル・クリシュナン医師と奇跡の出会いを果たした。彼が執刀を約束してくれたのだ。「ゲスト講師として訪れていた病院でプレーチに会いました。彼女は誤診され、適切な治療も受けられず、深刻な状況でした。完全に医療ネグレクトです」と、当時のプレーチさんの窮状を回想する。そして「もっと幼いころ手術を受けていたら、これほど重度の奇形にはならなかっただろう」と怒りを隠せない。

 最悪、命を落としかねない危険な手術だが、プレーチさんはそれでも手術を望んでいると話す。

「こんな身体になる前の、普通だった頃を覚えてるわ。走ったり、まっすぐ座るってどんなだったか。もう一度、あんなふうに戻りたいの。そのためだったらなんでもするわ」(プレーチさん)

 実は彼女には夢がある。デリー大学で政治学を学んで、将来は政治家になることだ。同世代の女の子たちのように結婚して子供を持つことは希望していない。彼女のような状態であっても、立派な仕事をして自立していけることを証明したいのだと話す。

「両親に言ってあるんです。『もし、私が政府で職を得たら、それが私の“お嫁入り”だと思ってね』って」(プレーチさん)

 この17歳の少女の驚くほどの勇気は、一体どこから湧いてくるのだろう。彼女の太陽のような笑顔に、再びまっすぐ歩けるよう、手術の無事を祈らずにはいられない。彼女の手術は年内に行われる予定だ。
(文=佐藤Kay)


※イメージ画像:「Thinkstock」より

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング