世界中の論文“3万本以上”が誤りだった? 恐るべき実験用細胞の汚染の実態

tocana / 2017年11月7日 7時30分

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 生物学・医学分野の衝撃的なニュースが飛び込んできた。世界中でこれまでに発表された32000本以上の論文が、別の細胞の影響で汚染された実験に適さない細胞を使用した結果がまとめられていることが判明したのだ。日本の論文も例外ではなく、4000本以上が汚染された細胞を使っていた。英「Daily Mail」が報じている。


■実験用細胞の汚染

 実験用細胞の汚染(別種の細胞の混入)が大きな問題であることは以前から指摘されていた。取り寄せた実験用細胞がラベルに書かれている物とは実は別物だったという困った事態は、これまでにも世界中で多数報告されている。日本をはじめ、各国の細胞バンクが調査を行っており、International Cell Line Authentication Committee(ICLAC)という国際組織でリスト化が行われている。

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2017/11/post_14854.html】

 今回、オランダ・ラドバウド大学のチームは、ICLACのリストに載っている451種類の細胞(誤認細胞)を使った論文がどれだけ発表されているかを調べた。すると驚くことに、32755本もの論文が誤認細胞を使って書かれていたことが発覚したのだ。論文の多くは1990年以降に発表されており、アメリカの該当論文は11996本、日本のそれは4007本と先進国の中でも際立って多数の論文が書かれていることがわかった。調査結果は10月12日の科学系オンラインジャーナル「PLOS ONE」に掲載された。

 研究の責任者ウィレム・ハルフマン氏によれば、驚くべきことに、現在でも毎週のように誤認細胞を使った論文が発表されているという。リストがあるにもかかわらず、既知の誤認細胞を使った研究が今も世界中で行われているのだ。多くの研究者は問題の大きさを理解しておらず、当然注意を払っていないということになる。


■なぜ汚染が起こるのか

 それにしても、なぜ細胞の汚染がこれほど多発しているのだろうか? そして研究者たちはなぜ自分の使っている細胞が間違っていることに気づかないのだろうか? 我々は生物学に詳しい理学博士X氏に解説を依頼した。X氏曰く、実験中の細胞がコンタミネーション(汚染)を起こすことはそれほど珍しくないという。

「実験を行うクリーンベンチ(無菌実験台)の清掃が不十分だったり、培地や試薬の使い回しだったりちょっとした不注意でコンタミネーションは起こります。混ざったのがカビや細菌だと見た目でわかることもあるんですけど、別の細胞の混入とかマイコプラズマ感染なんかは検査しないとわかりません。なので、日頃からの準備や対策に加え、正しい細胞が育っているかの検査が重要になります」

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