【世界初】研究室で培養された「ミニブレイン」から人間の脳波が確認される! 現在は未熟児レベルだが、今後成長か!?

tocana / 2018年11月22日 7時30分

写真

 ヒト細胞を実験室で培養して造られるミニ・ブレインから、世界で初めて脳波が確認された。しかも、そのパターンは未熟児のものと類似しているという。世界的科学誌「Nature」がこの驚きの報告をリポートしている。


■培養皿のミニ・ブレイン

 現在、世界中の実験室で、ヒト幹細胞を培養して作る「オルガノイド」の研究が盛んに行われている。オルガノイドとは生物の組織や臓器に似た形を持つ構造物で、実物と比べると小さく単純であるが、様々な病気の研究や薬剤の開発などに広く使われつつある。脳の組織に似た立体構造を持つオルガノイドも実現しており、脳オルガノイドと呼ばれている。

【その他の画像はコチラ→https://tocana.jp/2018/11/post_18811_entry.html】

 今月米サンディエゴで開催された神経科学学会で、実験室で造られるミニ・ブレインから世界で初めて脳波が検出されたとの驚きの報告があった。報告者は米カリフォルニア大学サンディエゴ校の神経科学者アリソン・ムオトリ(Alysson Muotri)氏。過去にネアンデルタール人の脳オルガノイドを作成したことでも知られる著名な研究者の一人である。

 科学誌「Nature」が今月15日付で掲載した解説記事によると、研究者らはヒト幹細胞から記憶や認知を司る大脳皮質の細胞を誘導し、何百個もの脳オルガノイドを培養した。それらは10カ月にわたって培養され、ヒトの脳と同じような遺伝子発現をしていることが確認されたのみならず、その表面に電気的なパターン、つまり脳波を生じさせて研究者らを仰天させたのである。

 脳波は培養開始からわずか6カ月ほどで観測された。通常の脳ではニューロンが同期してリズムパターンを持つ脳波を生み出すが、このミニ・ブレインから発せられたのは不規則なものであった。このパターンは早産で生まれた未熟児で見られるものと類似性があるといい、発達途上の脳で起きている生理的特徴を示しているのではないかと見られている。

 ムオトリ氏によれば、この脳オルガノイドはニューロンの正常な機能に必要なタンパク質を含まないように設計されているなど、人間の脳と全く同じとはいえないものであるという。培養は今も続けられており、このまま成熟が続くのか観察中とのことだ。そして、いずれは他の臓器オルガノイドと接続して正常な脳皮質と同じように機能するかも確認したいとしている。現在、ムオトリ氏らの論文はプレプリントサーバー「bioRxiv」で公開されている。

 水槽の中の脳という有名な思考実験があるが、脳オルガノイドの研究が進んだ暁には本物の実験となるのだろうか。前述した通り、オルガノイドは実物よりずっと小型でシンプルなものであり、今回観測された脳波が本当に人間の発達段階で観測されるものと同等かについては大いに議論がある。また、脳オルガノイドが意識を持つかも不明である。しかし、研究チームは意識の兆候があればプロジェクトを中止することも検討しているということだ。
(編集部)


※イメージ画像は、「gettyimages」より

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング