「核廃棄物を一瞬で無害化」ノーベル賞科学者の発明はウソか、本当か!? 推進派も反対も完全に勉強不足、これを読んでから物を言え!

tocana / 2019年4月17日 14時0分

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 2018年にノーベル物理学賞を受賞したフランス人のジェラール・ムールー氏が、核廃棄物の画期的な処理法を発明したというニュースが流れた。曰く「特別なレーザー装置を使用することによって、核廃棄物の放射能の半減期間を数千年から数分に短縮することを提案している」のだとか。

 ネット上では「コスモクリーナーだ!」「福島第一もこれで」等々、世紀の大発明のように思われているようだが……なにも新しい話ではない。これ、実はずいぶん前から研究されている「核変換処理」という技術で、しかも日本の大阪大学レーザー科学研究所が世界でもぶっちぎりの実績を上げている分野なのだ。

 だから、「ノーベル賞学者が」という見出しに踊らされて、今回の研究が元日本原子力研究開発機構関西光科学研究所長で現在米カリフォルニア大学アーバイン校教授の田島俊樹氏との共同研究だという点を見逃すと、話を見誤る。田島教授こそ、高出力レーザー研究の第一人者で、プラズマ物理学の最高権威であるチャンドラセガール賞を受賞しているスーパー研究者なのだ。

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■まずは高レベル放射性廃棄物のヤバさを理解せよ

 原発で出る使用済み燃料のうち、問題となるのは高レベル放射性廃棄物だ。原子力発電に使われたウランやプルトリウムといった燃料1トンにつき、再利用できない核物質は約50キロ。残り950キロは精製してまた燃料として使える。この異常な燃費の良さが原子力発電の魅力ではある。

 とはいえ、この残った50キロの高レベル放射性廃棄物が大変なのだ。放射線量は1,500,000mSv/h。値が大きすぎるので、ミリをとって1500シーベルトとする。

 放射線を浴びて具合が悪くなる境界線が1シーベルト。体にガンができて死ぬのが10シーベルト。放射線治療でがん細胞を死滅させる時の強さが100シーベルト。だから、100シーベルトをがん細胞以外、全身に浴びたら人間は即死する。しかし、高レベル放射性廃棄物の放射線はその15倍だ。

 このくらい放射線が強いと熱線になる。高レベル放射性廃棄物は熱いのだ。そもそも原子力発電は核燃料の発熱でお湯を沸かしてタービンを回しているので、当然と言えば当然。では、現状それをどう処分しているのか。

 高レベル放射性廃棄物は液体(廃液)なので、ガラスと混ぜてドロドロにして、シリンダー状に固める。これをガラス固化体といい、致死量の放射線と熱(表面温度が200度にもなる)を放射している。近づけば、死ぬ。これをキャニスターという高さ1340mm、直径430mmの金属容器に保存する。キャニスターを30~50年間、六ヶ所村(青森県)の貯蔵管理センターに保存しておくと多少冷えるので、それから300mの地下に埋める。でもこれはただの計画で、今は30~50年の途中で、キャニスターが集められ、冷えるのを待っている段階。しかし、未だかつて人類はキャニスターを地中に埋めたことがないから、埋めても大丈夫なんて、実のところ誰にもわからない。

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