リオ五輪・レスリング女子で金…土性沙羅さんが故郷・三重県松阪市で市職員になって1年 地元で続ける“恩返し”
東海テレビ / 2024年6月24日 21時47分
2016年にブラジルで行われたリオオリンピックのレスリングで、金メダルを獲得した土性沙羅さんは2023年4月、生まれ育った三重県松阪市で、市の職員になる道を選んだ。
金メダル獲得は「たくさんの人のおかげ」と話す土性さんは、入庁から1年が過ぎ、地元の大人にも子供にも「恩返し」を続けている。
■市民「地元の誇り」…現役引退し公務員になった金メダリストのいま
松阪市出身の土性沙羅さん(29)は、2016年のリオオリンピックにレスリング女子69キロ級の代表として出場し、金メダルを獲得した。
2023年3月で現役を引退し、4月から地元の松阪市役所の職員に採用された。
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「教育委員会事務局スポーツ課」に配属された。入庁2年目になり、パソコンに向かう姿もすっかりなじんでいる。
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松阪市スポーツ課の土性沙羅さん:
「母から市役所の採用試験あるよというのを聞いて。恩返しできるチャンスかなと思って応募しました」
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この日は市民を対象にしたトレーニング講習会が行われたが、レクチャーしたのはレスリングではなく、“自宅で簡単にできるトレーニング”だ。市民に時折声をかけながら手取り足取り、丁寧に教えていく。
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市民の50代男性:
「やっぱりヒーローですよね。スターっていうか、知らない人いませんのでね」
市民の50代女性:
「松阪市の職員になられて、ちょっと身近な感じになったので、松阪市の誇りだと思います」
「地元の誇り」が身近な存在になっている。
■「恩返ししたい」と入庁から1年 職場の仲間も高い評価
市役所に戻ると、市内の小学校に配るスポーツ少年団のパンフレットの仕分けや、市内のスポーツ推進委員を集めた会議が待っていた。
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1日の仕事を終えて…。
土性さん:
「練習は本当に、肉体的な疲労が多いんですけど、仕事は仕事で長時間で、違った疲れがありますね」
先輩の男性職員:
「最初のころは全く違う環境で、今までやっていないことだったと思うので、戸惑いもあったかなと思うんですけど。1年経って、本当に何年もいる感じで、自然な感じでお仕事をされているかなと思います」
入庁して1年が過ぎ、職場の仲間とも打ち解けられているようだ。
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土性さん:
「現役の時から、すごく地元の方にはたくさん応援してもらっているので、何か恩返しができたらいいなとは思っていて。すごい自分のためにもなっているなとも思いますし。アスリートしていたら絶対経験することなかったことだった」
■関わる機会が減ったレスリング 3カ月ぶりの母校訪問に「疲れ吹っ飛びます」
職員として覚えることはまだまだたくさんあるが、日々成長を実感しているという土性さん。机の上にはレスリング選手時代の写真があった。
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土性さん:
「全日本合宿の時の多分集合写真ですね、6、7年前ですかね」
レスリングには、今はあまり関われていないという。
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土性さん:
「(母校の)至学館行きたいんですけど、ちょっと遠いので。あんまり行っていないです」
市役所職員として忙しい毎日を過ごしているが、6月1日、至学館大学を約3カ月ぶりに訪れた。
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吉田沙保里さんら多くのメダリストを輩出した名門だが、市役所では若手でも、ここでは「偉大な先輩」だ。
土性さん:(学生たちに)
「なにか気になるとかいうことがあれば聞いてもらえれば、教えられる範囲で教えたいと思いますのでよろしくお願いします」
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厳しい練習に耐えた思い出の場所。レスリングの練習は久しぶりだ。
土性さん:
「クラクラする。久しぶりにやると首痛くなりました」
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後輩:
「だいぶきついですよ」
それでも、スパーリングではまだまだ学生を寄せ付けない。金メダリストの実力は健在だ。
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土性さん:
「はい、もう楽しい(笑)。楽しいもう最高。青春時代を一緒に過ごしてきた仲間というか、やっぱりもう一緒におるだけで楽しいですし。もう日々の疲れは吹っ飛びますね」
後輩たちに囲まれ、リラックスした表情だ。
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土性さん:
「現役中は、人に教えたりするのってすごい得意じゃなかったですし、コーチなんて無理やなと思っていたんですけど。市役所で働いて二年目ですけど人前で話したりとか、後輩たちを気をつけることはできたりするのかな。わからないですけど、今日だけはなんかできるのかなとか思った」
レスリングを離れて気づいた「もう一人の自分」。新たな気づきが成長の源だ。
■小学校への「出前授業」も 子供たちに伝えたいことは「夢は全力で追いかけて」
6月4日、市内の「港小学校」を訪れた土性さんは、少し緊張した様子だった。児童たちに自分の経験を伝える「出前授業」だ。
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土性さん:(児童たちに)
「今年オリンピックなのみんな知っている?どこである?」
児童:
「パリ」
「話すのは苦手」という土性さんだが、子供たちに話したこと…。
土性さん:
「私はもうね、本当にああやめたいなあっていう日々が続いていました。けれど、毎日やっぱり諦めずに努力して、少しずつ勝てるようになって…」
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子供たちに伝えたいのは「夢を持ってもらうこと」。この日はレスリングの体験もしてもらった。
女の子が土性さんをひっくり返そうとしてもびくともせず…。
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Qどうでしたか?
女の子:
「絶対無理」
そして、子供からの「金メダルを獲った時に一番感謝した人は誰ですか」という質問には…。
土性さん:
「もうね、絞れないぐらい本当にたくさんの人のおかげで金メダル取れたと思うので、みんな一番ぐらい感謝しています」
“ふるさと”松阪で歩み始めたセカンドキャリア。「最強の市役所職員」土性さんの夢はますます広がっていく。
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土性さん:
「やりたいことや夢があったら、もう全力で追いかけてほしいし、全然自分なんて完璧じゃないけどここまでできたみたいな。それを伝えられたらな。1年前の私には多分こういうふうになっているって事は想像できなかっただろうなっていうぐらい、私自身はすごく成長したなって。これから先、人生長いですし、色々なことに挑戦していきたいなと思っています」
2024年6月13日放送
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