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悪性リンパ腫の完全寛解状態が続く…笠井信輔さんが訴える「昭和患者からの脱却」我慢は美徳でなく正直な思いを

東海テレビ / 2024年7月20日 21時41分

ニュースONE

 フリーアナウンサーとして活躍する笠井信輔(かさい・しんすけ)さんは、2019年に「血液のがん」といわれる「悪性リンパ腫」と診断された。退院後も積極的に当時の経験を発信する笠井さんが最も伝えたいのは、病気だから我慢するのは当たり前という「昭和の患者」からの“脱却”だ。

■人生の転機に「突然のがん宣告」




 フリーアナウンサー笠井信輔さんは2024年4月、61歳の誕生日を迎えた。


フジテレビのアナウンサーとして、朝の情報番組「とくダネ!」などで活躍し、2019年にはフリーに転身。しかし、その直後に「血液のがん」といわれる悪性リンパ腫と診断された時、すでにステージ4まで進行していた。

笠井信輔さん:
「なんでこのタイミングでがんにならなきゃいけないんだっていう、絶望感でしたね」


人生の新たな一歩を踏み出した直後に、まさかの宣告。絶望する笠井さんを支えたのは、妻でフリーアナウンサーの茅原ますみさんだった。


妻・茅原ますみさん:
「何か現実感がないというか、そういうこともあるなという感じで。ショックとかそういうのではなくて、もうちょっとよく調べてみれば大丈夫なような気がした」

■死を覚悟するほどの辛い闘病生活でも発信続けた報道人としての「使命感」




 ますみさんの勧めでセカンドオピニオンを求めても、診断はやはり「悪性リンパ腫」。つらい闘病生活が始まった。

笠井さん(2019年12月31日):
「大晦日になりました、今年もあと一日です。胃痛がちょっと続いていますけれども、新しいお薬によってだんだん緩和されつつもありますけど」


笠井さんは抗がん剤の副作用で髪は抜け落ち、変わり果てた姿に。

笠井さん:
「非常に体調が良くないです。倦怠感がひどくて」


死も覚悟したというが、それでも病気と向き合う自分の姿をインスタグラムやブログで発信を続けた。

そこには報道に携わるものとしての使命感があったという。

笠井さん:
「報道というのはすべてが間接報道なんです。震災、事故、事件の現場に行って、この時代において自分ががんになるのはこれは直接報道だと。自分の経験を語ることがもうこれは報道になると認識して、この経験をやっぱり伝えていかなければいけない」

■闘病生活で変わったことや新たな発見も



 闘病生活を発信すると、最初は300人ほどだったインスタグラムのフォロワーは、一時30万人となり、多くの励ましのメッセージを受け取った。そして、笠井さん自身にも変化が現れたという。

妻・茅原ますみさん:
「やっぱり病気になる前は自分中心に働いていくことだけ、頑張ることだけが立っているという感じだったんですけど、病気になったら優しい人になった。だから良かったね、変われたことは良かったね」


入院生活で気付いたこともあった。抗がん剤の副作用で、笠井さんには味覚障害がでていたため、何を食べても同じ味がしたり、病院の食事の味が薄く、食べる気にならないこともあった。

しかし、そんな時は味の濃いカップ麺などを食べていたという。

笠井さん:
「僕が『カップ麺食べました』というと、全員が『良かったですね、食べましたか』って拍手してくれた。栄養のバランスなんていうのは健康な人がやればいいんだと、がん患者にバランスは必要ない。一番きつい時には本当に食べたいものを食べて、カップ麺食べるのは『正解です』と先生に言っていただきました」

■訴えたいことは“脱・昭和患者”…啓発活動や講演で社会に還元




 笠井さんは4カ月半の闘病生活を終え、2020年4月に退院し、仕事に復帰することができた。いまはがんの啓発活動や、自らの闘病体験を伝える講演を積極的に行っている。


訴えるのは、我慢は美徳という「昭和患者」の価値観を変えること、正直に思いを伝えることが大事だという。


講演の参加者:
「非常に参考になりました。やはり昭和世代だと、どちらかというと我慢するという人たちが多いので、そうではない形でもっていくというのは考え方を変えていかないといけないなと」

別の参加者:
「自分もちょっとそういう病気になったので、ネガティブなところがたくさんあるんですけど、もっと前向きに生きていかなきゃいけないなと思いました」


笠井さんは、2025年の春に公開される予定の映画「春の香り」に出演する。「春の香り」は悪性脳腫瘍と闘いながら漫画家を目指し、18歳で亡くなった愛知県江南市の坂野春香さんの実話をもとにしている。

笠井さんは高校教師の父親の同僚役で出演し、モデルとなった春香さんの両親とも交流を深めたという。

笠井さん:
「自分がジャーナリズムの世界にいるからやっているんじゃなくて、やっぱり何か帰ってきたからには人のためになれないかなって。がんサバイバーの皆さんと話していると『生かされた命』何かしなきゃいけないって考えてる人が多くて、がん経験者で社会貢献活動している人って本当多いんですよ」


病院を退院してから、すでに4年あまり経ち、がんの症状や検査の異常が見られない「完全寛解」の状態が続いている。

妻・茅原ますみさん:
「死を前にするような体験をした以上、何かの形で社会に還元できるような取材をしたんだと思ってほしいなと。今年の誕生日ケーキの言葉は『健康1番・仕事も1番』って書いた」

笠井さん:
「仕事も一番でいいんだって思ったんだけども、普通に仕事を続けていきたい。特別なことはしなくていいから、普通に働き続けていきたいというのが自分の中での希望です」

2024年5月14日放送

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