高校に“門球部”も…シニアの趣味だった『ゲートボール』にハマる若者たち YouTube等通じ世代超えて交流

ニュースONE

　シニアの趣味とされてきた「ゲートボール」が、最近変わりつつある。競技人口が減少する中、高校の部活動やYouTubeでの配信など、若い世代への普及にも力を入れている。

■「ゲートボール=お年寄り」はもう古い!?

　2024年4月、三重県伊賀市で45チームが参加するゲートボール大会が開かれた。シニア選手が腕前を競い合うだけでなく、グラウンドには子供たちの声も響いていた。

ゲートボールは、5人1チームで、3つのゲートを順番に通過し、最後にゴールポールを目指す。相手の球を外に弾いたり、味方のボールを動かして有利な状況を作ったりと、戦略も必要だ。

打ち方も、横方向にスイングして強く球を打つ「ゴルフスタイル」や、コントロール重視の「クロッケースタイル」など人それぞれで、奥が深いスポーツだ。

小学生：
「めっちゃ楽しい、やってよかった。友達とかみんなでできるから楽しい」

86歳男性：
「健康にいいし、頭を使うから、多少はボケへんやろ」

ゲートボール全体の競技人口は減少しているが、各地の団体は若い世代への普及に力を入れ、「お年寄りのスポーツ」というイメージが変わりつつある。

若者に負けず、声を張り上げる女性がいた。奥中冨子さんは83 歳で、仲間に狙うポイントを的確に指示したり、自らも正確なショットでポイントを重ねていく。

10年ほど前に夫に先立たれ、1人で暮らしていて、友人に誘われて始めたゲートボールが生きがいとなっている。

奥中冨子さん：
「子供もいないし、楽しみ持たないとあかん。対等にしゃべれるやん。若い子の話題に入れないが、ゲートボールならまだ話は合う。そんなんで、いま生きがいを見つけているのかな」

奥仲さんは週に2日以上練習に出かける。年を重ねるにつれて寂しさを感じることもあるが、ゲートボールが忘れさせてくれるという。

奥中さん：
「寂しい時もありますけど、やっぱりゲートボールあってよかったなと思います。これがなかったら自分もいきいきできないだろうしな。あるから元気でいられるのかな」

■若者たちが“ハマる”理由

　伊賀市で行われた大会には、若者だけのゲートボールチームも参加していた。

大阪市の水都国際中学校・高等学校には、高校では全国に7校しかないというゲートボールの部活「門球部」がある。授業が終わると、スティックを携えた部員たちがグラウンドに向かう。

門球部は2023年、部長の寺本和帆さんが立ち上げた。自由な校風で、生徒の発案で部活を作ることができるという。

部長の寺本和帆さん：
「ここ通学路になっているんですけど、ぱっと通った時に老人の人たちがゲートボールしていて『ちょっと混ざってみたいな』『部活作ったら面白いんじゃないか』みたいな。軽い気持ちではあるんですけど、距離が遠いところ狙って当たった時に、歓声沸いて『わー』みたいな。それを見て『これは絶対面白いな』みたいな。熱中している感じです」

門球部には中学1年から高校3年まで、あわせて12人が所属し、実戦形式をメインにショットの正確性を高めている。運動が少し苦手という中学3年の女子生徒は「ゲートボールならできそう」と入部したという。

中学3年の女子部員：
「スポーツとかできないから、ネット好きと思っていたが、でも全然こっちの方が楽しいし。いつもは家にいたけど、外に出てみんなでゲートボールして、みんなでご飯食べてというのが楽しくて、高校生まで続けたいです」

若者も夢中になるゲートボールは、まさに人生100年通して、みんなで楽しむことができるスポーツだ。

■世代を超えた交流…チャンネル登録勧めるゲートボールYouTuberも

　伊賀市のゲートボール大会の会場でも、世代を超えて選手たちが言葉を交わしていた。ゲートボールの動画を配信するYoutuberのSuzushin（すずしん）さんは、86歳の男性にチャンネル登録を勧めていた。

86歳の男性：
「きょう初めて出会った。そうしたらゲートボールで動画見てくれていますかと言うから」

ゲートボールYouTuberのSuzushinさん：
「今、ゲートボールでYouTubeやっているんですよ」

86歳男性：
「YouTubeか、知っているような、知らないような。スマホ持っているけど、あまり見ていないというか」

スポーツを通じて、世代を超えた交流が広がっている。ゲートボールが生きがいの奥中さんも「100歳まで現役」を目指している。

奥中冨子さん：
「悲しい時でも楽しい時でも、やっぱりゲートボールしていてよかったなと思う。ゲートがあるから、みんな年齢高いところまでいけると思う。100歳までいこうと。若い子にはまだまだ頑張って挑戦せなあかんと思っています」

2024年5月15日放送