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大阪でも広島でもない…愛知県西尾市のソウルフード 創業70年の『高知屋』のお好み焼き 作るのは73歳女性

東海テレビ / 2024年8月22日 21時37分

ニュースONE

 愛知県西尾市にある「高知屋(こうちや)」は73歳のおばあちゃんが作るお好み焼きが人気のお店です。20分かけてじっくり焼く、もっちり感があるお好み焼きは、大阪でも広島でもない「西尾のソウルフード」ともいわれています。

■焼くことじっくり20分…市民のソウルフード「高知屋のお好み焼き」




 名鉄西尾駅から徒歩10分、西尾市の中心部にある「高知屋」は、創業70年を超える市民御用達のお好み焼き店です。


生地を鉄板にのせて、焼いて焼いて焼いて…たっぷり20分焼きます。


時間をかけ焼いたお好み焼きは、ふっくらもっちり。生地やキャベツの甘み、肉のうまみが凝縮され、まさにここだけの味に仕上がっています。


男性客:
「ここはホントもっちりした(お好み焼き)。このあたりの人は、これがお好み焼きと思っとると思う」


女性客:
「親子3代(で通っている)。私たち娘たち孫」

別の男性客:
「西尾のソウルフードですここは。ほんとに」

■ソウルフードを支えるのは73歳の女性




 このお好み焼きで、西尾市民の胃袋を支えているのが、曽根貞子さん(そね・さだこ 73)です。


午前9時、曽根さんの1日は、店の植え込みに水をあげるところから始まります。

曽根さん:
「へーこれが咲いてきた。咲いてきた咲いてきた」

厨房に入ると仕込みを始めます、取り出したのはキャベツです。

曽根さん:
「やっぱり芯があるとお客様嫌がるもんね、残しちゃうもんね。お年寄りなんかぼそぼそっと残してあるもんね、硬いところだけ」

内側の芯は丁寧にカットします。立ちっぱなしで20分続け、腰にきますが、6玉分を仕込みました。


曾根さん:
「なんとか、なんとかがんばります」

続いて大きなカメを出しました、前日に仕込んだお好み焼きの生地です。


曾根さん:
「粉はね、西尾産のきぬあかり」

Qうどんでよく使う小麦粉ですか
曽根さんの息子 太一朗さん(43):
「そうですね、やっぱりモチモチ感が出るっていう。地産地消ですかね、そう言ったのもありますし。(お好み焼きに)合うんじゃないかと思ってね、いろいろ」

以前は違うものを使っていましたが、うどんにも使う地元の小麦粉に変えました。70年の歴史を守り続けるのではなく、良いものがあれば取り入れて進化させています。


キャベツと生地は予め混ぜておき、ほかの具材も揃えて準備完了です。

■「やみつき」「勝てる店ない」客絶賛のお好み焼き




 午前11時に開店すると早速、常連客がやって来ました。鉄板にキャベツが入った生地を流して、いきなりかつお節を振りかけます。


さらに紅ショウガも加えて、イカの切り身もたっぷりと乗せると、肉は牛肉と豚肉を混ぜ、一般的なスライスではなく、肉汁が出やすいひき肉を使います。


鰹節や紅ショウガも早く入れることで、生地にうまみを次々と足していくのが高知屋流です。

卵を割って落としたら周りを寄せて、高さを出していきます。


曽根さん:
「(生地は)ゆるめの方が柔らかく仕上がるもんね」

ここからはひたすらじっくり焼きます。

Qずいぶんじっくり焼くんですね
曽根さん:
「じっくりってそう20分くらい」


Qお好み焼き1枚で
曽根さん:
「20分くらいだね」

この店で使っている鉄板は、一般的な店より温度を低めにしていて、じっくり長く火を通すことで、キャベツの甘みや肉のうまみがより引き出されるといいます。


焼き始めから約20分経つと、ヘラで切れ目を入れ、鉄板に乗せて完成。曽根さんが焼き上げた、熟練のお好み焼きです。見た目からも確かにふわふわ感が漂っています。


ソースはお客さんの好みで塗って、食べます。

男性客:
「もう、勝てる店がないくらいのおいしさ。うるさいよオレ、ここのお好み焼き(を語らせると)」

その後、お客さんが続々と来店し、鉄板の上も慌ただしくなると、息子の太一朗さんと妻の佳奈さんも加わって、お店を切り盛りします。


男性客:
「(通って)50年になるな。何回でも食べたいくらい。1回来るとやみつきになっちゃうのよ」


女性客:
「これを食べちゃうとやみつきになっちゃうのかな、たぶん」


高知屋では、お好み焼きと焼きそばが半々に乗っている「ハーフセット」も人気です。


女性客:
「欲張りなもんで、たくさん食べられる」

一緒にいた女性客:
「両方とも食べたいな、でも結構量多いですもんね。おいしいですよ」

曽根さんは、馴染みのお客さんから観光客まで応対し、年齢を感じさせない働きぶりでお店を回していきます。


曽根さん:
「今、仕事をやっていて楽しいもんね。昔から来てくれるお客さんの顔見たりとか、いろんな話しとればね」

■働き詰めだった人生…いまは自分の時間を楽しみながら「これからも」




 午後3時、曽根さんは店の外へ。この春から店に出るのは午前中だけにしています。


お店は約70年前、曽根さんの義理の父が創業しました。曽根さんの夫が2代目を継ぐとともに、40年もの間、曽根さんはひたすらお好み焼きを焼き続けました。


曽根さん:
「そりゃ大変だったよ。今と問題にならんくらい忙しくって。30代とか40代は全く記憶がない」


4年前に夫が亡くなり、息子の太一朗さんが3代目を継いだことで、経営は任せることにしたといいます。


この日は、近所をお散歩します。

曽根さん:
「(西尾市に来て)47年になるけど、西尾ってあまり知らないんだよね。今年初めて(観光名所の)みどり川の桜を見た」


曽根さんは愛知県安城市の生まれで、西尾市には40年以上住んでいますが、働き詰めだったため、西尾の土地勘がないといいます。

今はそれをコツコツと埋める楽しい毎日を送ります。

曽根さんの息子で3代目の太一朗さん:
「よう頑張ってやってきてくれたなっていうのは思っていますね。やっぱりこの味が好きだって言ってくれるお客さんがいるので末永くやっていきたいと思っています」


70年続く西尾のソウルフードを守る、73歳の曽根さん。息子夫婦に支えられながら常連客との楽しい時間を過ごし、さらに自分のための時間を使える今が、一番幸せだといいます。


曽根さん:
「夢のような話だなと思ってね。ホント感謝しています。できる限り手伝ってあげたいなっと思う。辞めるなんて事は考えたこともないね。どうしてだろうね、もうやるもんだと思っているし、結構お客さんも楽しみにしてくれている人が多いもんね」

2024年5月30日放送

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