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“ゴミ団地“と呼ばれたことも…半数以上が外国人の愛知『保見団地』日本人との共生進み“故郷”に 新たな問題も

東海テレビ / 2024年9月11日 21時20分

ニュースONE

 愛知県豊田市の「保見(ほみ)団地」は90年代にブラジルなどから多くの日系人が移り住み、今も住民の半数以上を外国人が占めている。過去に相次いだ住民間でのトラブルは減少傾向にあるが、新たな問題が浮上している。

■“愛知のブラジル”保見団地 過去には住民トラブルも




 愛知県豊田市の公園で8月10日、夏まつりが開かれた。盆踊りのやぐらや露店などが並び、ケバブなど異国情緒漂うグルメも売られていた。


夏まつりの会場の近くには“愛知のブラジル”とも呼ばれる「保見団地」がある。1970年代に建設された約4000戸のマンモス団地で、2024年5月時点では、団地がある「保見ヶ丘」の人口6564人のうち、6割近くにあたる3793人が外国人だ。


外国人が急増するきっかけとなったのが、1990年6月に施行された入管法の改正だった。日系3世までに単純労働での在留資格を認め、家族とともに日本で暮らせるようになった。


製造業が盛んな東海地方には、ブラジルなどから多くの日系人が職を求めて来日し、保見団地はその象徴となった。

大人は自動車関連企業などで働き、子供たちは日本人と同じ学校に通った。


しかし、言葉や文化の違いなどから日本人の住民とトラブルが絶えず、1999年には一部の外国人と右翼団体などが衝突し、警察が出動する事態となった。

団地の中を歩くと、あちこちに壁の落書きや、階段の踊り場が焼け焦げた跡が残っている。


それでも保見団地に住んで35年になる県営保見自治区の木村友彦区長(71)は、当初に比べ「状況はかなり落ち着いている」という。

木村友彦区長:
「いい人のほうが多いだろうけど、悪い人の方が少ないだろうけども、目立つじゃんね。悪い人の方が目立っちゃうから。そういう風に見ちゃう」

団地の一角には、国籍を越えた人々が笑顔で踊る姿を描いた壁画がある。


落書きされた壁を住民たちが中心となり、アートな壁画に塗り替えていた。


かつては住民間で対立もあった団地の雰囲気は、徐々に変わりつつある。

■保見団地は「ゴミ団地」!? マナー改善へ




 外国人と共生するための課題として、「ゴミの分別」がある。可燃ゴミの回収日、ゴミ捨て場に出された袋の中を調べると、空き缶やペットボトルなどが多く混ざっていた。


木村区長:
「『ちゃんと分別しなさいよ』と言っているの。日本語とポルトガル語、スペイン語でも。だけど分別なんかしてない」

外国人の住民が分別をせず、出す曜日も守らないため、ごみが山積みになる日もあるという。さらに住民以外の不法投棄も後を絶たない。


住民の松田光義さん:
「外部からすごい捨てに来るんですよ。『ゴミ団地』って言われたんです。その名残があるから、みんな『ここに捨てれば大丈夫だろう』っていう連中が結構多い」

保見団地は「ゴミ団地」。噂を聞きつけ、外部からの不法投棄が相次いでいるという。木村さんに防犯カメラの映像を見せてもらった。


木村友彦区長:
「よそのゴミを、うちのゴミステーションに捨てている状態です」

映像には、トラックから何者かがゴミ置き場にゴミを投げ込んでいる様子が映し出されていた。


「ゴミ団地」のイメージを払拭するため、木村さんらは外国人に正しいゴミの分別を教えている。

住民の松田さん:
「昔に比べると数段良くなっているし、ゴミの捨て方もちゃんとやってくれる人たちが増えてきている。だから、無駄にはやってなかったかなって感じもしますね」


住民たちの地道な努力で、保見団地では外国人と日本人の関係は改善されつつある。20年ほど前からは夏まつりも開かれ、外国人も多く参加している。

会場の一角では「JUNTOS(ジュントス)」という若者らのグループが、子供たちが楽しめるゲームの準備をしていた。


Q JUNTOSの意味は何かあるんですか?
女性:
「『一緒に』っていう意味で」

Q日本人や外国の人も?
女性:
「そうです。一緒に」

国籍や文化を超えて、夏まつりは多くの人々の笑顔であふれていた。


日本人の男性:
「ブラジルの人がすごい多くて、楽しいです。お店もブラジルの物が食べられるので良いです」

日本人の女性:
「結構ブラジルの子たちもたくさん来ていて、違和感なくやっていますね」

■日本が“ふるさと”に…外国人も高齢化




 共生に向けた動きが進む「保見団地」だが、新たな課題も生まれている。8月のある日、木村さんたちは1人暮らしの89歳の日本人男性の部屋を訪ねた。名前を呼んでも、扉をたたいても応答がない。3分ほど呼びかけを続け、ようやく無事を確認できた。


保見団地でも2000年からの20年間で、高齢者は2倍以上に増えた。2024年に入って、すでに孤独死が2件あったという。外国人の高齢者も増加し、ポルトガル語やスペイン語を話すことができるヘルパーが活動している。

73歳の神崎エンリッケさんは、およそ30年前にペルーから来日したが、今も日本語はほとんど理解できないという。3年前に脳梗塞を患って半身不随となり、ヘルパーを利用して暮らしている。同居する36歳の娘も統合失調症を患い、ヘルパーの助けが欠かせない。


神崎エンリッケさん:
「言葉が通じることで助かっています。違うデイサービスの訪問介護するヘルパーもいますけど、調味料の使い方とか言葉の壁があるのでやっぱり難しい」

言葉が通じることで、必要なケアを受けられているという神崎さんは「日本で生涯を終えたい」と話す。しかし、言葉が通じる知人が徐々に減り、何かあった時のことを考えると不安になるという。


神崎さん:
「高齢者の友達もいるけど、気付いたら入院している人や、亡くなった人も結構いる。自分ができるところまでは頑張りたい」

保見団地に13年前オープンした「ケアセンターほみ」には、外国語が理解できるヘルパーがいるが、利用者は増える一方だという。


「ケアセンターほみ」の上江洲恵子所長:
「(保見団地での依頼は)口コミが多いですね。『この高齢者が困っている。助けてあげて』とか言って、ヘルパーが訪問して」


移住が始まって30年あまり…夢を抱いて保見団地にやってきた外国人たちに「高齢化」という新たな壁が立ちはだかっている。

2024年8月28日放送

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