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腫瘍あった犬は半年後に…病気で“飼育放棄”されるペット 増える殺処分「物としてみている」怒る保護団体

東海テレビ / 2024年10月20日 12時6分

ニュースONE

 医療の進歩などに伴い、犬や猫の平均寿命は伸び続けていますが、人間のように公的な保険制度がないため、年をとって病気になると多額の医療費がかかるのを嫌い、捨てたり愛護センターへ持ち込む飼い主もいます。

■部屋には置き去りにされた1匹の猫…病気で飼育放棄されるペット




 痒そうに体をダンボールにこすりつける犬。


毛は抜け落ち、皮膚は赤くただれています。埼玉県の河川敷に捨てられているところを、散歩をしていた女性が見つけて保護しました。


病院で検査したところ「甲状腺ガン」を患っていることがわかったといいます。


岐阜県岐阜市のアパートからは、部屋に置き去りにされた、猫が見つかりました。

猫の保護団体の代表:
「住民の方と連絡がとれないということで、鍵を開けて入ってみたら、そこに猫だけが取り残されていた」



管理会社から連絡を受け保護団体が駆け付けたところ、病気を患い、瀕死の状態だったといいます。


猫の保護団体の代表:
「高齢で目が見えなくて心臓病で呼吸がしづらいということで、いまうちでは酸素室に入っているんですけど。家族として迎えたなら、やっぱり最後まで責任を持ってこの子たちの命が消えるまで見守るべきですし、ちゃんと医療にもかけてあげるべきだと思いますね」

病気で飼育放棄されるペットたち。例えば犬の場合、捨てられるなどして愛知県で保護された数は年々減少していますが、殺処分される割合は徐々に増えています。


理由の1つとして、愛護センターに保護された段階で病気やケガをしていて、一般家庭への譲渡ができず、殺処分せざるを得ないケースが増えていることが挙げられます。

■犬の引き取り24年度は上半期だけで前年度を既に上回る




 8年連続で犬の殺処分ゼロを達成している名古屋市でも、同様の状況が起きています。取材したこの日、名古屋市を拠点に活動する保護団体「ファミーユ」が千種区の「動物愛護センター」にメスのミニチュアピンシャーを引き取りに来ていました。


このミニチュアピンシャーは内臓に大きな腫瘍ができた状態で、飼い主が愛護センターに持ち込んできたといいます。

センターで手術し、腫瘍を切除しましたがガンが乳腺にも転移していたことから、一般家庭への譲渡はできないと判断され、団体が引き取りました。


名古屋市動物愛護センターの担当者:
「令和6年度上半期終わった所ですけれども、すでに昨年度(21匹)を超えていまして、26頭もの犬の引き取りがありました。感覚的にですが、3割ぐらい(健康状態が悪い)かなと思います。自分の生活にも困窮しつつ、動物のお世話もままならないというようなことが、最近は見受けられることがありますね。その動物が何年生きるかわかりますか、お世話にどれほどの時間がかかるかわかりますかというようなこともすべて考えたうえで、飼う飼わないっていうことをしっかりと見極めていただきたい」

■手遅れになるケースも…起き上がれない状態で河川敷で保護された犬




 愛知県武豊町の「ドッグレスキューハグ」では、12年前から犬の保護活動を始め、殺処分の対象となった犬たちを行政から引き取っています。


この日、1匹の犬がハグにやってきました。飼い主が飼育放棄し、持ち込まれたメスのダックスフントです。


お腹に大きな膨らみがあり、ガンになっている可能性があるため、病院で診察を受けます。


お腹だけでなく、胸にも腫瘍が確認されました。細胞を採取し、良性か悪性かの検査をします。


ナガセ動物病院の上野雄史院長:
「保護される子は病気の子が多いですよね、実際ね」

たとえ病気になっていなくても予防の注射や薬には医療費がかかるため、それを嫌って飼育放棄してしまうケースもあると言います。


上野院長:
「混合ワクチンとか狂犬病ワクチン(の接種)、あとはフィラリアの予防、ノミマダニの予防っていうのでも年間3万円ぐらいはかかってくるじゃないかなと。病気になってくるともうやっぱりその病気次第で。心臓の手術だとゆうに100万円を超えてくるような手術もあります」

検査結果は良性で、その後ダックスフントはハグで元気に暮らしています。


しかし、手遅れになってしまうケースもあります。

ドッグレスキューハグの代表 塚本恵さん:
「豊川でこの子がいるのを見つけた人から、お腹を見て『腸が出ている犬がおる』って連絡があって、見に行ったら腸ではなくて腫瘍だった」


お腹に大きな腫瘍を抱え、豊川市の河川敷で保護されたミニチュアダックスフントは、
発見時にはぐったりとして、起き上がることもできない状態だったといいます。


塚本さん:
「病院でもやっぱり出血が結構バーッと出てくるときは出てきてしまって、その対応がここ(ハグ)でできるんだったら退院でいいと思うって言われて。やろうと思って、自分たちで」

塚本さんは2023年5月、病院から引き取り、この犬をハグで保護することを決めました。


いつもニコニコして、まわりの人たちを笑顔にしてくれることから「笑舞(エマ)」という名前をつけました。

■腫瘍があった犬は半年後に…懸命の看病した保護団体に看取られながら




 この日から24時間体制での介護が始まりました。


大きくなった乳がんが、皮膚をやぶって表面に出てしまっています。


塚本さん:
「こういうところもじわじわ出血するから、こういうところも押して止血して…。夏場はほんとしょっちゅう洗わないとウジがわいちゃうから、気を付けんといかん」

毎日患部を洗い、パッドで止血して、清潔な状態に保ちます。


栄養豊富な食事は塚本さんの手作りで、エマは徐々に食欲も出てきました。


エマの体調がいい日には施設の近くや、海辺まで連れて出かけました。


塚本さん:
「抱っこしてこうやって、いい子いい子いい子ってやってあげたかったの。それができて本当嬉しかった」

しかし、愛護センターから引き取って半年後が経った11月、エマの体調が急激に悪化しました。


塚本さん:
「エマって呼んでも出てこない、ケージから。で、目が合わない」

病院でみてもらうと、ガンが脳にまで転移していることが判明しました。


塚本さん:
「エマ!エマちゃん!」

エマ:
「グゥ…」

塚本さん:
「うん、エマちゃん!」

塚本さんの呼びかけになんとかこたえようとしますが…。

塚本さん:
「いかんよ」

エマ:
「グゥ…」

そして翌日…。

塚本さん:
「エーマー!エマちゃん、やだやだやだやだ。やだやだやだ。エマちゃん、エマちゃん、エマちゃん」


別の女性の声:
「寝ただけだよね、エマ。エマ。嘘だよね。」
「待って、エマちゃん。」

エマは、塚本さんの腕の中で旅立ちました。

塚本さん:
「最後、絶対痛かっただろうし苦しかっただろうし。それなのに本当に頑張った。飼い主の人を待っていたんだろうと思って。置いて行かれて、待っていたのかなと思うと、可哀そうね、エマが。家族じゃないんでしょうね、その人たちにとって。ぬいぐるみのようにモノとして見ていて、病気にもならないって思っていて、そういう姿になったときに『あぁじゃあいらない』『こんなはずじゃなかった』『お金なんかかけられない』と」


ペットショップで目にする、愛らしい子犬や子猫。その子たちはいずれ年老いて、病気になることもあると塚本さんは話します。


塚本さん:
「子供が病気になったら絶対に連れて行きますよね、病院に。それが犬だからいいって。愛情がなかったんだよね、愛情があればそんなことはできないし、最期まで見ようと思うし、年を老いても、病気になっても」

すべての犬や猫が、家族に見守られながらその命を終えることができるように。塚本さんの切なる願いです。

2024年10月2日放送

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