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兵庫県知事選から転戦のYouTuberも…名古屋市長選に『SNS』の影響力 デジタルボランティア達の熱狂と課題

東海テレビ / 2024年12月14日 21時0分

ニュースONE

 2024年11月の名古屋市長選では、SNSを味方につけた広沢一郎さんが勝利した。しかし、デマや誹謗中傷が拡散し、苦しめられた候補者もいた。今や選挙戦に欠かせないSNSとどう向き合うのか、有権者の姿勢が問われている。

■SNSが選挙に大きな影響 広沢氏「ムーブメントをつくりだす力がある」




 2024年11月24日に投開票された名古屋市長選挙で、新市長に選ばれた広沢一郎さんが当選直後に語ったのは、選挙戦で感じた「SNSの力」だ。

広沢一郎新市長:
「ムーブメントをつくりだす力が、ネット・SNSには大きくあると思っていて」


広沢さんが今回の選挙戦で積極的に行っていたのが、河村たかし前市長のYouTubeチャンネルを使った生配信だ。選挙期間中に合わせて10回以上で、日中は街頭演説、夜はマニュフェストの解説などを生配信した。



河村たかし前市長:
「あぶにゃ~あぶにゃ~いっとったって、しょうがね~ぞ、選挙は」

広沢一郎新市長:
「気を引き締めていただいて」

生配信には、必ず河村前市長が登場した。その中で陣営が積極的に打ち出していたのが、“SNSで支援の輪を広げる呼びかけ”だ。

広沢一郎新市長:
「SNSを私のネタであふれ返らせるくらいにしていただけるとありがたい」


アメリカ大統領選・衆議院選挙・兵庫知事選挙と、SNSは選挙結果に大きな影響を与えた。今回の名古屋市長選でも、各陣営ともSNS戦略に力を入れ、動画投稿やライブ配信などを積極的に行った。


広沢さんの支援者が作成した、支援を呼びかける画像がある。「SNSを広沢一郎で埋め尽くそう!!」「みんなでやるぞぉートレンドランキング入り」などと書かれている。


SNS上では、デジタルボランティアの広沢さん支援の輪が広がり、陣営は、このムーブメントに火をつけようと繰り返し呼びかけた。

■170万回再生の動画も…「選挙YouTuber」の影響力




 広沢さんの街頭演説をスマートフォンで撮影し、生配信しているYouTuberの男性がいた。男性は、登録者15万人の「ふくまろネットニュースチャンネル」を運営している。

YouTuberの男性:
「(Qどれくらい視聴している?)いま700前後っていうところです。(Qどんなコメントが多い?)コメント頂いています。一郎さん頑張れとか、減税路線応援してくれる人が多い」


男性は4年ほど前から、国会の動画の切り抜きをYouTubeにアップし始め、収入に繋がったことから、政治系のユーチューバーとして独立した。

東京都知事選で注目を集めた石丸伸二さんの選挙戦から密着をはじめ、兵庫県知事選挙でも斉藤知事の活動に密着した。投開票日の動画の再生回数は170万回を越えた。

YouTuberの男性:
「現場の熱狂みたいなもの、特に兵庫の時は熱狂が360度すごかったので、一体感もすごい。そういう輪の中に入れているのが面白かった。若者にどんどん拡散できたらというのがあります」


男性は、河村前市長の減税政策を継承する広沢さんの主張に魅力を感じ、兵庫から名古屋に移動し、そのまま密着を始めた。

おなじみの“自転車街宣”に密着するため、名古屋入りしてから急遽、自転車を購入した。


撮影中には、配信を見ていた視聴者が直接声をかけてくる場面も…。

視聴者:
「ずっと配信して下さって、お礼を言いに来ました。ふくまろさんにすごく会いたくて。静岡県民なので投票券ないんですが、せめて応援はと思って」


多くの視聴者の注目を集め、収益にもつながるユーチューブ配信だが、真偽不明の情報もそのまま流れる恐れがある。

YouTuberの男性:
「取捨選択して、各々がどれを信じるかというのはある。自分が100%正しいかというとそうでないという人もいるし。公選法で届かないところをYouTubeやSNSがリーチできる。これからどういうふうに進化していくかは分からないがいい方向に行けばいいと思う」


広沢さんの選挙戦では、演説を配信する人の姿が目立った。陣営も、こうしたYouTuberによる拡散を歓迎した。

広沢一郎新市長:
「多くの人に見ていただけるようになったのもネットのおかげ。YouTuberの皆さんが私の演説を拡散してもらっている。ネットの向こうに、何千人何万人の人が見て頂いている。これはすごいことなんです」


広沢さんは、SNSのムーブメントをうまく味方につけ、勝利につなげた。

■デマや誹謗中傷に苦しむ…敗れた大塚耕平氏「SNSに苦しめられた」




 名古屋市長選では、大塚耕平さんも、自身の政策を訴える動画を投稿するなど、積極的にSNSでの情報発信を試みた。


しかし、SNS上では、減税の継承を訴えた広沢さんに対し、大塚さんを増税派と表現し、対立構造を煽る投稿が拡散された。

広沢さんの支援者らを中心にX上で拡散された画像には、「減税」対「増税」となっている。


これに対し大塚さんは、「政策の効果は常に分析する必要があるので、そういう観点でいろいろ発言しているが、増税派ではありません。元祖減税派です」とSNSで呼びかけた。


しかし、SNS上での情報拡散は収まらなかった。

Xには、「敬老バス値上げ&給料満額の大塚耕平に投票すると、名古屋市は貧乏になります」という投稿もあった。敬老バスの負担ゼロを訴えている大塚さんに対し、全くの誤情報を拡散する投稿も飛び出す事態だ。

大塚耕平氏:
「正直な政治と真反対の、デマや誹謗中傷に直面しています」


こうした事態に、大塚さんが所属していた国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、「『大塚さん増税派なんだって』というから冗談じゃないよと。手取りを増やす経済政策や、積極財政で減税しようと言ったのは大塚と玉木だから」とYouTubeで呼びかけた。


国民民主党の玉木雄一郎代表は、投票日2日前の11月22日、名古屋に駆けつけた。

国民民主党 玉木雄一郎代表:
「私や榛葉幹事長や伊藤孝恵参院議員の顔を撮ってください。『どうか頼む』とLINEでもSNSでも何でもいいですから、どうか拡散してください」


終盤にかけSNSを使った情報発信を続けたが、逆風は収まらず、広沢さんに13万票以上の大差で敗れた。敗戦の弁でも、「SNSに苦しめられた選挙戦だった」と振り返った。

大塚耕平氏(11月24日):
「デマ・誹謗中傷・レッテル張りの影響も一定程度あったと思う。『敬老バスなくすんじゃなかったの』と。『逆のことをおっしゃっていますね』という問いかけを何十回も受けた。それだけデマが浸透していたということ。ある意味、選挙妨害に近い行為なので。この辺をどういうふうに対応していくか、政治全体の課題だと思う」


選挙戦に欠かせなくなったSNSとどう向き合うか、有権者1人1人の姿勢が問われている。

2024年11月26日放送

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