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ひとつ屋根の下のメリットとは…スタートアップ500社が集結『STATION Ai』老舗企業も注目する“本当の姿”

東海テレビ / 2025年1月2日 21時26分

ニュースONE

 日本最大級のスタートアップ支援拠点「STATION Ai(ステーション・エーアイ)」が2024年10月、名古屋市昭和区にオープンした。ひとつ屋根の下、およそ700社が集結することでどんなメリットがあるのか。「本当の姿」を追った。

■起業文化の醸成を…500社のスタートアップが集まる「STATION Ai」




 名古屋市昭和区鶴舞に10月31日、「STATION Ai」がグランドオープンした。


総工費およそ156億円をかけて建設された地上7階建ての施設で、スタートアップの企業500社が入居している。


グランドオープンの2週間前、株式会社エンサポート代表の山口勝也さん(46)が、オフィスで準備を進めていた。エンサポートは3年前に名古屋で立ち上げた、社員5人のスタートアップ企業だ。



住宅関連の営業マンだった山口さんの経験を活かし、住宅会社には営業ノウハウのトレーニングを、一般向けには住まい選びのセカンドオピニオンサービスを展開している。


エンサポートの山口勝也代表:
「人生に大きく影響するマイホームの購入や売却が、1人1人の方が安心してできる、そんなサービスを提供しています」

「STATION Ai」の内部は1階から6階までスロープでつながっていて、見通しのよい空間が、入居者同士のコミュニケーションを促すという。


座席も個室のほか、仕切りのないオープンタイプもあり、企業間の交流を加速させる狙いがある。


山口さんは入居初日から、さっそく打ち合わせを行っていた。

相手は入居している名古屋の別のスタートアップの代表で、20代から30代の会員およそ7000人を抱える社会人の交流サークル「エンプレース」を運営している。


エンサポートの山口代表:
「例えばエンプレースさんの中で、年に数回そのような勉強会をさせていただいて」

エンプレースの米村直樹代表:
「今年、エンプレース内で結婚するカップルが5組くらいいるんですよ。そのタイミングでやっぱり家を購入するとか、実際建てている人もいたのでエンサポートさんと一緒に、そういう住まいのこととか、相続のこととか、悩まれてる方とか今後知識入れたい方いると思うので、そこでタイアップみたいな形でできるといいなと思います」


企業同士の打ち合わせがスピーディーに組めるのは「STATION Ai」のメリットの1つだ。

■グローバルな企業が入居する理由は“競合”と“協業”




「STATION Ai」には名古屋の人材系スタートアップ「アイティップス」も入居した。

インドの職業訓練学校で現地の職人を育てて、日本の建設現場とマッチングする事業を展開する創業3年目のスタートアップだ。


世界と名古屋をつなぐグローバルな会社が、なぜ「STATION Ai」に入居したのか。

アイティップスのクマール・ラトネッシュ代表(40)は「インドは人が多すぎて、仕事が少ない」という。

アイティップスのクマール・ラトネッシュ代表:
「1人の起業家や1社じゃ絶対解決できないですよね。『日本の人手不足と、インドの就職難』この問題を解決しようと思った時、いかにいろんな人を巻き込んでいくかっていうのが大事」


世界規模の課題解決を目指すスタートアップにとっても、ともに手を携えていく相手を探すのに、うってつけの場だという。

アイティップスのクマール代表:
「お互い競い合っていく、『そこまで進んだよ』『すごいな俺も頑張るぞ!』っていうパターンもあれば、協力し合うような『このサービスじゃあ使わせて』『使って』って関係もあるし、時には継続できなかったときに『じゃあ、ウチと一緒にやろうぜ』とか」


時に“競合”、時に“協業”。ひとつ屋根の下で、スタートアップたちが動き出した。「STATION Ai」の“大家”佐橋宏隆CEOは、名古屋に施設ができた意義を、こう説明する。

STATION Ai の佐橋宏隆CEO:
「(愛知・名古屋は)昔は“スタートアップ不毛の地“と言われていました。『いい大学を出て、大きな企業に勤めてよ』という期待する親御さんが多かったと思うんですけど、この地域から起業するとか、もしくはスタートアップで働くとか、とにかく起業家のすそ野を広げていく」


製造業を中心に大企業が多く集まり、“スタートアップ不毛の地“とも言われた愛知で、「STATION Ai」は起業文化を広めていく挑戦だ。

■「速いコミュニケーションをしたい」…老舗企業「コメ兵」が入居する理由




「STATION Ai」にはスタートアップだけではなく、名古屋の老舗リユースショップ「コメ兵」も入居している。


コメ兵の担当者:
「スタートアップの方たちとの交流が全くなくてですね。こちらに入ってそういった方たちと、すごく速いコミュニケ―ションをしたいと思って」


コメ兵のような大手企業や団体とスタートアップとの出会いで、オープンイノベーション=技術革新を生み出すのも「STATION Ai」の狙いだ。全部で200ほどの名だたる企業・自治体・金融機関などが入居している。

コメ兵では、2020年からAIによる鑑定を導入し、マイクロスコープで拡大した画像をもとに、AIが、数秒で買取できる品物か判断する。


最新技術の活用が、今後ますます必要になっていくと踏んだコメ兵は、スタートアップとの協業をどん欲に求めている。


コメ兵の担当者:
「実際に何社か、例えばブロックチェーンですとか、あとはリモート=遠隔で我々のサービスを実現できるような技術を持った方ですとかと話を始めています」

STATION Ai の佐橋宏隆CEO:
「スタートアップと、製造業を中心とした既存の産業の分厚い歴史と、その基盤がある地域なので、そこを掛け合わせてスタートアップと大企業含めた色んな事業会社の事業の融合というか、協業が生まれるように」

■飲み会も調整?マッチングの”仕掛け人“




 イノベーションへの道筋は開けているのか。再びエンサポートの山口さんを訪ねると、入居から2週間ですでに50社以上とマッチングしたという。


そのスピードの裏には、“仕掛け人”の存在があった。

エンサポート 山口勝也代表:
「随時、チャットの方で、『今度このスタートアップさんにエンサポートさんの話をしたら“是非会いたい”と言っている』っていうようなお取次ぎが」

「STATION Ai」では『コミュニティマネージャー』を名乗るスタッフたちが入居する企業を回っていき、それぞれのニーズを拾ってマッチングにつなげている。


7階のルーフトップテラスでは“飲み会”を開催し、コミュニケーションを図っている。


コミュニティマネージャー:
「(飲み会のほうが)フランクな状態でお話できるので、毎日のコミュニケーションで拾い上げています。めちゃくちゃアナログで」

『最先端』のスタートアップ500社と200の一般企業とで起こすイノベーションのカギを握っていたのは『アナログ』な人と人とのつながりだった。


巨大な施設にたくさんの企業。そして、それらをつなぐ“人”の存在。名古屋の地から、大きなイノベーションは生まれるのだろうか。

STATION Ai の佐橋宏隆CEO:
「可能性のある地域だと思うんですよね。ただ、これまでそこにこう焦点が当たっていなかったというだけで。新たにこの地域で事業を起こすということに対してですね。世界に羽ばたくような起業家を間違いなくこのSTATION Aiから生み出していける」

2024年11月8日放送

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