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食事中の“姿勢”にまで目配り…命を失うこともある園児たちの『誤嚥』離乳食に細心の注意を払う保育の現場

東海テレビ / 2024年12月23日 16時16分

ニュースONE

 北海道札幌市の認可保育園で2024年10月、1歳の男の子が、給食を喉に詰まらせて死亡しました。乳幼児が食品を誤嚥して死亡する事故は2019年までの6年間で約60人が死亡しています。保育の現場を取材すると、事故が起きないよう調理はもとより、子供に食べさせるときまで細やかな注意をしていました。

■保育園で1歳児が給食誤嚥で死亡…専門家が指摘する食事の際の注意点




 札幌市の認可保育園「アイグラン保育園拓北」では2024年10月23日、1歳1カ月の男の子が給食を喉に詰まらせ心肺停止となり、病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。

2014年から2019年の6年間のデータでは、食品を誤嚥して窒息したことによりが死亡した乳幼児は0歳が26人、1歳が18人、2歳が15人となっています。



子供への傷害の予防活動を行うNPO法人「Safe Kids Japan」の山中龍宏理事長は、まず前提としてものを食べるときは「前歯でかみ切り」「奥歯ですりつぶし」「だ液と混ぜて飲み込む」という流れがあるとしたうえで、札幌市で亡くなった1歳1カ月の乳児はまだ奥歯がない可能性もあり、その場合はすりつぶすことが難しいことや、肉は、熱を加えると固くなり、喉につまらせる可能性が高いとしています。


子供が食事を喉につまらせないようにするためには「調理方法」「歯の生え具合」が重要で、さらに子供は急に泣き出す、そのあと大きく息を吸い込んで、口の食べ物を一気に吸い込むといったこともあるため「食べるときの状態」がどうかも予防のポイントになるとしています。


このような事故は一般家庭でも起こる可能性があるので、山中さんは「食べることは危険を伴うということを知ってほしい」と話しています。

■葉物は広げて確認することも…保育の現場で調理員が確認する注意点




 子供たちが食べるこうした離乳食を作っている現場は日々、どんな注意をしているのか、保育園で調理の現場を取材しました。

名古屋市千種区の「田代保育園」は、3歳未満の園児33人が通う(2024年11月21日時点)認可保育園です。

取材した11月21日は、1歳以上の給食がご飯、マーボー豆腐、春雨サラダ、すまし汁でした。


調理は8時半ごろから始まり、人参や小松菜などの具材を細かく切っていきます。

葉物は、切ったときは小さく見えますが、口の中で広がるため、見た目よりも細かく丁寧に切り、春雨など細長い食材にも気を配るといいます。

調理員:
「(細長い食材が)喉に引っかかった状態で他の物を食べて、喉の気道が狭くなる、それがきっかけで他の物が喉に詰まったりする」

注意が必要なものは、再度広げるなどして確認をします。


煮る工程では「硬さ」がポイントです。キャベツは、芯に注意。目視の確認はもちろん、必ず調理師自ら食べます。イメージは箸やスプーンでスッと通るやわらかさです。

この日の炒めものはマーボー豆腐です。奥歯が生え切っていない乳児のため、歯茎だけでも安全に食べられるよう、使う豚肉のミンチの調理にも細心の注意を払っていました。

調理員:
「大きい鍋に広げて、塊肉がないかチェックしながら炒める。本当に詰まらせちゃったら怖いので」


調理を始めておよそ2時間、料理ができたあとは「検食」が行われます。

保育士が「検食」し、味の濃さや食材の硬さなどを確認します。

保育士:
「春雨が入っているんですけど、長いものがないかなとか、スープはエノキもやっぱりこの短さがいいなと」


情報は毎日記録して、次回への反省や次の献立へ反映しているといいます。

■食べさせるときは量だけでなく“姿勢”にも注意




 そして実際に子供たちに食べさせるときは、0歳と1歳児混合のクラスでは成長にあわせて、保育士1人で子供1~3人ほどに食べさせています。

スプーンで食べさせる場合は、3分の1から半分くらいの量をすくって食べさせていました。

詰め込み過ぎないように注意が必要な子供に対しては、目の前に置いた取り皿とは別の皿を保育士が使い、料理を取り分けたうえで、少しずつ取り皿に置いていきました。

また、食事中の姿勢にも、保育士は注意していました。

保育士:
「姿勢が悪くて首が曲がってしまったりだとか、体の向きが横に向いていたりすると怖いので、なるべく『まっすぐ』を意識していますね」

食事の場には、料理を作った調理員もいました。

調理員:
「これくらいの刻みでいいかなとか、食べにくくないかなとかをクラスの担任と相談しながら共有している」

この日の食事にかかった時間は45分。子供を預かる保育の現場では、調理員や保育士の細やかな気配りや工夫がありました。


そして、それでも万が一危険な状態になったときに慌てず助けを呼べるように、園の電話の下には、住所や意識や顔色など必要な情報を的確に伝えられるようメモを貼って備えていました。

2024年11月22日放送

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