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22件途中で切ってもトラブル無し…カスハラ対策の『切電マニュアル』で効果 進む従業員を悪質客から守る対策

東海テレビ / 2024年12月28日 21時22分

ニュースONE

 従業員への暴言や理不尽な要求などの迷惑行為、いわゆる「カスハラ」への、企業や自治体側の対策が進められている。電話オペレーターへのカスハラが続いていた「首都高お客様センター」では、2023年から「切電マニュアル」を作成したところ、効果がでている。

■過去3年以内の「カスハラ経験」は30%以上




 2024年11月25日、愛知県長久手市の携帯電話ショップで、20歳の女がスマートフォンの不具合がすぐに解消しなかったことに腹を立て、女性店員に「嫌な気持ちになったから土下座しろ」などと脅したうえ、髪の毛を掴み土下座させようとした強要未遂の疑いで逮捕された。


逮捕当時、調べに対し女は「私は脅してはいない。頭髪は引っ張りました」と容疑を一部否認していた。



調査会社のネオマーケティングが2024年9月に行ったリサーチ結果では、3年以内にカスハラを受けた経験が「ある」と答えた人は、合わせて32%で3人に1人、「よくある」と答えた人も約6%だった。

■「内容の理不尽さ」など…菊池弁護士に聞いたカスハラとクレームとの違い




 カスハラとクレームとの違いについて、菊地幸夫弁護士に聞いた。


菊池幸夫弁護士:
「要求される内容が、理不尽なものなのかどうなのか。お前には能力がないからやめてしまえ、あるいは、言葉悪いですけどバカなんて、こういうような言葉、暴言を吐いたり、理不尽であればカスハラになりやすいですしそうでなければ、それは正当な要求だということになります」

また、ポイントは、要求する内容だけではないという。

菊池弁護士:
「内容が正当であっても、その主張される手段、方法、やり方ですよね。非常にしつこく執拗に、例えば 1回1時間、2時間とか相手を電話で拘束する、電話を切らさないようにする。それを連日のように繰り返す、要するに、内容が理不尽でなくても、手段、方法がそのような「社会的相当性」を逸脱するというようなものだとこれはカスハラになる。だから、抽象的に言えばこういう定義でこれは分けられるということになりますね」


明確な線引きはしにくいものの、内容が理不尽ではないか、また内容が正当であってもその手段も問題で、長時間拘束する、相手を罵倒・威圧する、写真を撮ってWEBに配信するといった「社会的相当性」を逸脱するものはカスハラに当たるとしている。

■全国初の「氏名公表」含めた条例案検討する自治体も…理不尽なカスハラに進む対応




 しかしいま、企業側がカスハラへの対応を変えようとする動きも出ている。厚生労働省などがガイドラインを出して対策方法を提示していて、企業や自治体も進めている。


菊池弁護士:
「例えば当社はあるいは自治体は、カスハラに対して皆さんを守りますよと、カスタマーハラスメントは認めないですよというような宣言をし、対策をする。この流れは必然的なものだと思いますね」

吉野家ホールディングスは2024年12月、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を発表。


日本ケンタッキー・フライド・チキンも同じく12月、「カスタマーハラスメントに対する方針」を発表し、カスハラ行為をイラストで示したポスターを掲示している。


三重県桑名市の議会では12月4日、伊藤徳宇市長から、カスハラ防止条例案が提案された。市内の店舗で働く従業員などを対象に相談窓口を設置し、カスハラの相談を受けた際、対策委員会が両者の意見を聞いたうえで、カスハラと認めた場合は「警告」をする。


それでも繰り返された場合、全国で初めては、ホームページなどで「名前を公表する」としている。

■首都高は「切電マニュアル」で効果




 このような対策で、既に効果が出ている企業もある。首都高での渋滞情報やルート案内などを行う「首都高お客様センター」では、1日約1700件もの問い合わせがあるが、中には、理不尽なものも多く含まれるという。


このカスハラ問題を解決のために始めたのが「切電(きりでん)マニュアル」だ。「30分以上同じ内容を繰り返し主張する」「要求内容が不当」「威圧的な発言・口調」のいずれかに当てはまる場合、相手に理由を伝えた上で電話を切るという運用を始めた。


「首都高お客様センター」では、マニュアルが策定された2023年5月から、2024年8月までに客からの電話を途中で切ったケースは22件あったが、客とのトラブルに至ったケースはないという。


首都高お客様センターの担当者:
「会社が社員を守ってくれていると感じて、安心してお客様対応ができるようになったというような声が出ています」


首都高CS サステナビリティ推進部の恩田和典課長:
「お客様に対して真摯に対応するのは当たり前なんですが、それによって我が社の社員、オペレーターが、疲弊するということはあってはならない」

菊地弁護士:
「カスタマーハラスメントがあった場合に、従業員をしっかり守らないと、逆に訴えを起こされた場合に負けちゃうんですね。法律的な裏付けもありまして、顧客というものに対する考え方も少し変えていかなきゃいけないんじゃないのかと」

ほかにも厚労省のHPでは、大手コーヒーショップで店舗スタッフがネームプレートの名前をもとにSNSで検索されつきまとわれるトラブルが発生し、ネームプレートをイニシャル表記に変更して対策したケースも紹介されている。

また、看護師など従業員が、患者やその家族による迷惑行為に悩み、患者向けに作った相談室を、従業員の相談もできるように切り替えてケアするとともに、病院内の案内に「迷惑行為を行った場合は診療をお断りする」旨のポスターを掲示した病院もあるという。

2024年12月6日放送

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