【ヤクルト】村上宗隆〝量産モード〟一転…苦渋の1週間 柏原純一氏が気になった打席の「立ち位置」
東スポWEB / 2024年4月29日 6時13分
【柏原純一「烈眼」】どうしたのか…。まだ24試合とはいえ、心配なのがヤクルトの4番・村上宗隆内野手(24)の状態だ。
今月21日までは打率3割2分8厘、4本塁打、7打点。今季1号は14日の13試合目と、若干時間はかかったが、そこから1週間で4本塁打と量産モードに入っていたのを見ていただけに、月末の阪神3連戦(甲子園)は、令和の三冠王が〝本領発揮〟する姿を楽しみにしていた。
ところが…である。23日の広島戦以降、状態は急降下。結局、甲子園でも再浮上のきっかけをつかむことなく無安打に終わり、これで直近5試合は20打数2安打。打点ナシの10三振と一転「苦渋の1週間」となった。
甲子園での3連戦でまず気になったのが、昨季よりもホームベースから離れて、打席に立っている点。おそらく敵バッテリーの内角攻めに対応することを念頭に、あえてホームベースとの距離を取ったと推察するが、あまりにも離れ過ぎている。ネット裏から見る限り、スクエアに構える両足は、バッターボックスのど真ん中。内角を空けることでバットは出やすくなる反面、外角は相当、遠く感じることになる。
27日には3三振を喫したが、外角への直球、スライダーやチェンジアップなど阪神左投手の外角中心の出し入れに、スイングの接点を見いだすことができていなかった。
さらに言えば「何とか早く、立て直したい」という焦る気持ちが、体の開きにもつながっているようにも思える。どの投手に対しても、タイミングが取り切れておらず、相手投手に早く左胸を見せてしまうようなスイングになっている。それゆえバットも遠回りし、前に飛んだ打球にも力強さはなく〝雰囲気〟を感じるような打席も見ることができなかった。
自分でも好調時よりも、体が開きが早くなっていることは自覚していることだろう。まずは軸足にしっかりと体重を乗せ、現状「上体と腕」だけに頼りがちなスイングを「足→腰→腕」の順でスイングできれば、すぐに復調の一打を放つことができると感じる。
「打撃は水もの」とよく言ってもので、たった1打席で状態が崩れることもある反面、逆もしかりだ。三冠王の技術がある彼なら、わずかなきっかけさえあれば、好調時の感触はすぐにつかめるはずだ。
投高打低が顕著で3割打者も少ない現在の球界で、彼は打率も本塁打も大いに望める数少ない日本人長距離打者。もちろんまだ序盤戦。この「苦しみ」を精算できる機会はまだ山ほどある。一昨年に三冠王を獲得した輝きを今季、再び期待している。(野球評論家)
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