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【桟原将司連載#12】敗者復活戦から全4試合を僕1人で投げることになった

東スポWEB / 2024年5月28日 11時6分

中日では「カバちゃん」の愛称で親しまれた佐藤

【桟原将司 ハナの剛腕道中(12)】社会人3年目の2003年、僕は新日鐵広畑の都市対抗出場に貢献し、阪神からドラフト指名されることになるのですが、プロのスカウトから注目を浴びた時期は少し前のことになります。

社会人2年目の02年10月に行われた第29回社会人野球日本選手権大会近畿予選でのことです。代表決定戦で日本生命と対戦したのですが、スカウトは03年ドラフト4巡目で中日に入団することになる佐藤充投手を視察しにきていたんです。

佐藤投手は日体大から日本生命に進み02年の日本選手権で優勝投手となり、最優秀選手にもなったドラフト有力投手でした。「カバちゃん」の愛称で中日ファンの方々に親しまれ、06年の交流戦では5勝を挙げ最多勝にもなった右腕です。

僕はゲーム終盤に登板し、交代後に延長戦でチームは敗戦。そこで佐藤さんの映像を撮影しにきていたはずのスカウトが「広畑のこのピッチャーは誰や? 知らんぞ。桟原? この子、高校の時にドラフト候補に挙がってるやん。佐藤よりええ球投げるやん」となり、プロからマークされるようになったらしいです。

その秋の日本選手権は出場を逃しましたが、翌年夏の都市対抗予選では僕がエースとしてほぼ全試合で登板することになります。ただ、この年だけなんですが兵庫県予選だけではなく京滋奈兵と広域地区で代表を争うことになり、条件は非常に厳しいものになりました。

京都の日本新薬、滋賀のIBM野洲、兵庫の三菱重工神戸など強豪ライバルがひしめき合っています。広畑の会社の方々は「もう今年は出られんなあ」と言っている方々もおられました。

兵庫県1次予選は順当に勝ち進み京滋奈兵2次予選では1回戦でベテランの先輩投手が先発しました。この先輩は僕より一回り上で当時で33歳。相手にも十分な対戦データがあり戦略を練られていたはずです。先輩は初回に3ランを浴び劣勢となり、3回から僕が登板しました。それでも及ばず日本IBM野洲に2―4で敗戦してしまいます。

われわれは敗者復活戦に回ることになりました。ここからの4試合、僕は全試合1人で投げることになります。敗者復活1回戦は6―2でニチダイに勝利。同2回戦は三菱重工神戸を相手に社会人初完封の6―0。これで勢いに乗りました。そして同3回戦で日本IBM野洲と再戦することになりました。

そこで先発した僕は10安打以上を許し4失点。試合終盤まで劣勢で負けを覚悟していました。ところがです。僕の先輩捕手で左投手にはめっぽう強く、右投手は大の苦手という打者がミラクルを起こしてくれました。

相手もデータから分かっていたはずなのですが、満塁になった場面でエース級の左投手に継投してきたんです。すると結果は満塁ホームランですよ。奇跡の大逆転で6―4の勝利。いわゆるエースの顔を立てたんでしょうが、それがアダになった形です。僕たちはその結果、第2代表決定戦に進むことができました。

第2代表決定戦は翌日でした。相手は大和高田クラブです。前日のIBM戦で150球ほど投げていた僕が先発するとは相手も思っていなかったらしいです。それでも僕は最後まで投げきり2―1で勝利。地区第2代表として第74回都市対抗野球大会への出場を決めました。

社会人野球というのはみんなで声も出すし、ヤジもすごい。都市対抗出場決定ですごく盛り上がったのは本当にいい思い出です。

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