元巨人の裏方・香坂英典氏が著書で語った阿部監督との不思議な縁
東スポWEB / 2024年6月4日 11時54分
【赤ペン! 赤坂英一】巨人を率いて自身初の交流戦に臨んでいる阿部監督。その姿を、特別な思いで見守っている巨人と中大の先輩がいる。1980年入団の元投手・香坂英典氏(66=全府中野球倶楽部コーチ)だ。
香坂氏の現役生活は5年と短かったが、引退後は長年、広報担当、プロスカウトなど裏方として巨人に貢献。このほど、初の著書「プロ野球現場広報は忙しかった。裏方が見たジャイアンツ黄金時代」(ベースボール・マガジン社)を上梓し、阿部監督にまつわる秘話の数々を明かしている。
現役時代の阿部はとにかく明るいひょうきん者で、他の選手の形態模写や声帯模写が十八番。実によく特徴を捉えたネタの連発に、いつも大笑いさせられていたそうだ。
「その半面、試合や練習ではかなりつらい思いをしたと思います。慎之助は1年目(2001年)から正捕手としてマスクをかぶり、いつも先輩やコーチからリードや配球について、厳しい指導や助言を受けていたから。そばで見ていて、かわいそうになるくらいでしたよ」
そう語る香坂氏、実は阿部との間には意外な縁がある。香坂氏が中大2年生だった春、野球部を辞めようかと考えていたころ、大学の正門前で4年生の阿部東司先輩、後の慎之助の父親にバッタリ。コワモテの東司氏に「よく来たな」と練習に引っ張っていかれた。
こうして野球を続けることになった香坂氏は、4年春のリーグ戦でノーヒットノーランを達成。これが巨人に評価され、ドラフト外で入団した。それから21年後の01年、広報担当として東司氏の息子、ドラフト1位新人・慎之助について取材の対応に当たったのだ。
「大学2年の時、門の前で東司先輩に会ってなかったら、今の僕はない。人生とは何がきっかけで変わるかわかりません」と言う香坂氏が、阿部の新人時代を振り返る。
「慎之助は入寮する日、正力松太郎像の前で体をくの字に折って、深々と一礼していました。ルーキーながらに、巨人軍に入るということの重みを感じていたんでしょう」
そんな阿部をはじめ、香坂氏が仕切る現場には私も何度も立ち会った。今回の著書には松井秀喜や清原和博などに関する驚がくの真相、抱腹絶倒のエピソードも満載だ。
川相昌弘・現内野守備コーチの項では、香坂氏自ら本人に取材。真面目な野球の話だけでなく、川相コーチ一流の“珠玉のダジャレ”も聞き出している。こんなことまで深掘りしている巨人の本はちょっと他にない。
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