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【桟原将司連載#17】一軍昇格で葛西さんからアドバイス「ピッチング練習はするな」

東スポWEB / 2024年6月5日 11時24分

葛西投手コーチは厳しくて怖かった

【桟原将司 ハナの剛腕道中(17)】新人合同自主トレから左膝痛が発症しキャンプは二軍スタート。プロ入り後の時間の大半をリハビリとトレーニングに費やし、一軍デビューなんて遠い夢というポジションに僕はいました。

投げることもできない投手に木戸二軍監督、葛西投手コーチは本当に厳しくて、怖くて…。

それでも、徐々に回復して3月の半ばには初めて二軍の試合に合流させてもらいました。詳しい日付は忘れましたが、その日にナゴヤドームで投げたら、球速149キロを記録したんです。

そしたらまあ、速いなってなるじゃないですか。そこから鳴尾浜に帰った時ですかね。次は151キロ出てしまったんです。二軍の選手がちょっと速い球を投げたところで、大きく報道されることも普通はないんですが、そこは阪神タイガースです。関西系のスポーツ紙に「桟原151キロ」と大見出しで新聞記事が出たんです。

すると一軍の中西清起投手コーチが「キャンプでも投げてなかったくせに。誰やねんこいつは!」ってなるわけです。もちろん、誰かは分かってはいるものの、そこまで期待されていなかったであろうことは理解できます。

僕としては休んでただけだもん(笑い)って感じですよ。たまたま調子が良かっただけなんですけどね。ウエスタン・リーグで3試合、中継ぎで投げた後には二軍戦で初先発のチャンスもいただきました。

ウエスタンの広島遠征で由宇に行く時、山口高志二軍投手コーチに「次の試合は先発行くかも」と言われたんです。ただ、なぜか翌日になると「やっぱりなし」みたいな流れで僕も「?」となってしまっていました。

すると移動のバスに乗る時、葛西さんに横に座るように言われました。「もしかしたら一軍に呼ばれるかも」。僕からしたら「何を言ってはるんですか?」という感じですよね。

葛西さんは「いや、ほんまに一軍かもしれんから」と冗談を言っている様子はゼロ。そしたらその後にグラウンドに着くと、木戸二軍監督に呼ばれて「今日お前、ゼロで抑えたら明日から一軍行かしたるわ」みたいなノリで通告されました。

その試合で僕はプロで初めて2イニングを投げてゼロに抑えました。ちなみにこの時の最高球速は143キロほどと遅かったんですが…。そこから翌日にもう1試合投げて、遠征から戻ったら葛西さんに「もう明日からお前は一軍の練習だから」と告げられました。

同時に葛西さんからは「その代わり、絶対にピッチングを練習するな」と言われたんです。まだ、プロ野球の試合で合計50球ほどしか投げてない新人です。2イニング投げて、連投した状態なので、一軍首脳陣にピッチングを披露すると無理してしまうという配慮ですね。「緊張してしまうんでやめときますとでも言って、ウオーミングアップ、ランニングくらいのメニューで終われ」と助言してもらいました。

アマチュアの世界だったら、今日一日くらい全力で投げてアピールすればいい、見せたいという気持ちになっていたかもしれません。そういうちょっとしたことでコンディションを崩してチャンスを逃すこともある。今になって思いますがプロの世界は奥が深いです。

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