「クマがMVPだよ」松坂大輔が称えても…岩隈久志が痛感したレベルの違い【平成球界裏面史】
東スポWEB / 2024年6月16日 9時21分
【平成球界裏面史 近鉄編57】東京・堀越学園から平成12年(2000年)に近鉄バファローズの一員としてプロのキャリアをスタートさせた岩隈久志。5年目の平成16年(04年)には2年連続で15勝を挙げるなど文句なしのエースに成長していった。
いてまえ打線をバックにこの先数年、近鉄は安泰か。そんなふうに誰もが思っていたのだが…。少し先の未来すら読めないのが人間。04年で近鉄は消滅し岩隈は楽天に移籍し、平成21年(09年)3月には世界の大舞台、WBC決勝の先発マウンドに立っていた。
岩隈は決勝戦で7回2/3を97球、4安打2四球6三振2失点と好投。侍ジャパンのWBC連覇の原動力となった。この大会で計4試合に登板し、先発した3試合で2勝をマーク。決勝は勝利投手の権利を持ったまま降板したが、白星はつかなかった。3勝で2大会連続のMVPに輝いた松坂大輔が「岩隈くんに悪いなあ。MVPはクマだよ」と話したほど貢献度は大きかった。
ただ、岩隈の感覚は違った。岩隈にとって松坂は1学年上の先輩であり同世代。同じパ・リーグの近鉄と西武のエースとして投げ合ってはいたが、松坂は遠い憧れの存在だった。
同じ東京都出身で少年時代にはリトルリーグで対戦したこともある。堀越学園時代は甲子園未経験の岩隈に対し、松坂は名門・横浜の絶対エースとして春夏連覇。岩隈がプロ入りした時にはすでに松坂はパ・リーグ新人王、最多勝などのタイトルを総なめにし、同世代のライバルとは捉えていなかった。
04年のアテネ五輪では松坂とともに日の丸のユニホームに袖を通した。岩隈は予選リーグのオランダ戦で2回途中KOされたのまま、開会中は登板なしに終わった。だが、1つ年上の怪物はモノが違った。国際大会となると一気にギアを上げ、異次元の集中力を発揮する松坂。その姿を目の当たりにすればするほど、レベルの違いを痛感するしかなかった。
09年のWBCでも松坂はすでにボストン・レッドソックスのローテ投手であり、前年には18勝を挙げていた。09年大会は2次リーグ前に米アリゾナで合宿期間などもあったため、米国滞在期間が長かった。その期間中に松坂は勝手知ったる土地で若い投手陣をフルにアテンドした。
23年のWBCでダルビッシュ有が投手陣をまとめたように、現地での食事から休日のゴルフの手配など一手に面倒を見た。周囲に気を使わせることがないよう、取材も人懐っこい笑顔を浮かべながらどんどんこなす「平成の怪物」はこの上なく頼もしかった。
「表彰式の時、松坂さんが『クマがMVPだよ』とって言ってくれた。うれしかったです。そんなふうに言ってもらえるなんて。ただ、初めてのWBCで自分の投球ができたのは、松坂さんが周囲に気を使ってくれて投手陣をまとめてくれたからだと思っています」
この時期から岩隈ははっきりとしたビジョンとまではいかないまでも、MLBで活躍する自分の姿を想像するようになった。あの日本の絶対的エース・松坂大輔と遜色ない成績を国際大会で残したのだから当然といっていい。
この3年後にはメジャーに挑戦することになる岩隈。米アリゾナ州ピオリアのキャンプ地では、近鉄のご縁に恵まれることになる。そんな未来は当時の岩隈にはまだ見えていなかった。
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