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【大相撲】「四股を踏め!」「防げる負傷もある」ケガ多発の理由を秀ノ山親方が考察

東スポWEB / 2024年6月20日 6時9分

四股を踏む白鵬

ケガが多発する背景とは――。大相撲夏場所は小結大の里(24=二所ノ関)が初優勝を果たした一方で、休場者が続出。上位陣では一時、役力士9人のうち5人が不在となる異常事態となった。相撲にはつきものである負傷を、未然に防ぐことはできるのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)による連載「がぶりトーク」では、力士とケガの関係について考察した。

【秀ノ山親方・がぶりトーク】読者のみなさん、こんにちは! 夏場所は大の里の初優勝で盛り上がった半面、休場者の多さが目立ちました。相撲にはケガがつきものとよく言われます。私も現役時代には何度もケガをしたし、本場所の土俵に上がれず悔しい思いをしたこともある。親方となってから改めて感じるのは、日ごろの鍛錬次第で未然に防げるケガもあるということです。

横綱の白鵬関があれほどの実績を残した理由の一つは、休場が少なかったから。力士は四股、すり足、テッポウといった基礎運動で体の土台をつくります。白鵬関は全身が汗びっしょりになるまで繰り返し、ケガをしにくい柔軟性のある体をつくり上げていた。これが器具などを使ったウエートトレーニングに偏り過ぎてしまうと、筋肉が硬くなり故障しがちな体になってしまうんですね。

基礎運動のもう一つの利点は、自分のコンディションが分かること。私も、どれだけ体調が悪くても稽古場に下りて四股を踏むことだけは欠かさなかった。四股を踏むことで「今日は体が硬いから、しっかりほぐさないといけないな」とか、故障につながる予兆を知ることができる。特に若いうちにケガをする力士は、この基礎運動が足りていないことが多い。

日々の指導の中でも感じることがあります。今の若い力士は重い物を持ち上げることができても、片足を上げさせたりすると自分の体を支えられずにフラフラする子が少なくない。体の軸がしっかりしていないと、自分の体の動きをうまくコントロールできないし、全体のバランスが崩れてケガにつながる。体幹を強くする上でも、四股などの基礎運動は大切です。

もちろん、力士として相撲を取る以上、完全に無傷というわけにはいきません。私も2013年九州場所で大胸筋断裂の大ケガを負ったことがある。私の先代師匠(初代琴桜)がよく言っていたのは「ケガは稽古で治せ」。体の強い部分はケガをしないし、必ず弱い部分から壊れていく。だから、弱いところやその周りを鍛え直して、鋼の体をつくりなさいということなんですね。

今の力士で言えば、照ノ富士はヒザの故障で大関から序二段まで落ち、そこから横綱にまで上り詰めた。若隆景もヒザを痛めて関脇から幕下まで番付を下げた後、はい上がって関取に返り咲きました。ケガをしないに越したことはないけれど、痛めてしまったらどう対処していくか。両力士が復活できたのは、自分の体としっかりと向き合ってきた結果だと思います。

私も経験がありますが、力士にとっては休場してテレビで相撲を見ることほどつらいことはない。夏場所を休場した力士たちも、次の名古屋場所ではより強くなって戻ってくる姿を見せてほしいですね。それではまた!

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