悪党・シマ馬小僧にブチ切れ!力道山 必殺の空手チョップ出さずにV12 試合後には制裁
東スポWEB / 2024年7月7日 10時9分
【昭和~平成スター列伝】プロレスの祖・力道山は、ザ・デストロイヤー、ミスターXの正統派から、怪奇派まで多くのマスクマンと名勝負を残した。怪奇派で記憶に残るのは“シマ馬小僧”ゼブラ・キッドとの一戦だ。
キッドは1961年に初来日。劇画からそのまま出てきたようなシマ模様のマスクで、まだ覆面が珍しかった日本全国で大人気を呼んだ。覆面の額部分に凶器を入れて頭突きを放つ悪党だったが、実力はホンモノで“鉄人”ルー・テーズと6度引き分けている。
シマ馬小僧は初来日ながら、61年11月7日大阪で力道山のインターナショナルヘビー級王座に挑戦。本紙は1面で詳細を報じている。
「最初はアマレススタイルでスピーディーに勝負したキッドだが、反則の凶器入り頭突きを出したことで力道山の怒りをさそい、場外乱闘で覆面を引きちぎられ、頭をブチ割られて血だるまとなった。1、2本目ともにカウントアウトの2―0で力道山が12度目の防衛に成功した。力道山自身も語っていたが、苦しい展開になると予想された。ところがキッドは有利な立場にありながら反則で自ら破滅を招いてしまった。力道山にとっては幸運な試合だった。力道山は伝家の宝刀・空手チョップを一度も使わなかった。キッドに対して空手は効果はないと判断したからだろう。こんなことはあまり例がない。それだけに力道山の動きは慎重だった。1本目、お互いにイスをふるっての乱闘はタイトル戦にふさわしくないものだったが、2本目にキッドのフライングアタックをかわしたあたりは完全に計算された動きで、力道山の完勝だった。力道山は『プロレスはやはりお互いの得意技を十分出し合って戦うべき。今日はもの足りない。空手を出さないで防衛したのは初めてだよ』と語った」(抜粋)
力道山が初めて空手チョップを出さないで防衛したという点では、ある意味、歴史に残る試合だった。王者は不完全燃焼だったのか、試合後に覆面をはがして素顔(ジョージ・ボラス)をさらす制裁行為にも出ている。
キッドは2日後の11月9日名古屋でドン・マノキャンと組んで力道山、豊登組のアジアタッグ王座に挑むも、こちらも0―2で完敗を喫した。結局、ピークを過ぎていたせいか来日はこれが最初で最後だったが、昭和30年代のプロレスを語る上では欠かせない存在だった。 (敬称略)
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