【K―1】石井館長 ブアカーオの敗因を解説「いなしながらポイントで勝つ作戦だったと思う」
東スポWEB / 2024年7月8日 6時2分
生ける伝説の〝誤算〟とは――。立ち技格闘技イベント「K―1 WORLD MAX」(7日、東京・国立代々木競技場第二体育館)の70キロ級トーナメントで、10年ぶりにK―1のリングに上がったブアカーオ・バンチャメーク(42=タイ)が無念の黒星。その敗因をK―1創始者で現アドバイザーの正道会館・石井和義館長(71)が分析した。
2004、06年の同トーナメントを制した〝生ける伝説〟ブアカーオは、新生後のK―1に初めて参戦し「ワイルドカード」としてトーナメントの準々決勝に出場した。試合はブルガリアの強豪ストーヤン・コプリヴレンスキー(30)に1ラウンド(R)から圧力をかけつつ前に出てペースをつかむ。
しかし2Rに自ら放った左ミドルに合わせられたカウンターの右ハイキックがアゴをかすめ、まさかのフラッシュダウン。最終3Rは逆転を狙い積極的に前に出たが、12歳年下のストーヤンからダウンを奪い返すことはできず判定0―3で敗れた。
試合後のブアカーオは「相手の脚の長さが予想外で見切れていなくてハイキックで終わってしまった」と悔やんだ。以前のK―1と判定基準に変化を感じたとして「延長に入ると思い(3Rは)体力を残して戦っていました。前のK―1だと延長戦になったかなと…」と無念さをあらわにした。
この試合を石井館長は「ブアカーオはうまく戦おうとしていましたよね。若い相手をいなしながらポイントで勝つ作戦だったと思う。ただ、2Rのダウンが余計でした」と振り返る。判定については「僕は1Rはブアカーオが有利で、2Rはダウンでマイナス。3Rはどっちでも…という感じだからドローかなと思った。(旧K―1だったら)延長だったかもしれないなとは僕も思います」とうなずいた。
ではなぜ延長にならなかったのか。その理由を「ブアカーオはさばいたり、こかしたりしてうまく戦っていたけど、それがあまりダメージにはつながっていなかったんです。一方でストーヤンはダメージを取りにいっていた。そこをレフェリーが見ていたんじゃないか。今は(K―1に限らず)ダメージ重視でしょ。そこが前と変わっていると思います。だからこそ、ダウンしたのがもったいなかったですよね」と指摘。再参戦が実現した際、ブアカーオがこの〝時代の壁〟にどう対応するかが見どころになりそうだ。
一方で大会全体を振り返り、日本人スター育成の必要性を痛感したという。石井館長は「今回は70キロの1回戦で日本人選手が負けてしまったので…。やっぱり日本人のスターが欲しいですよね。もともと僕らが70キロをやったのも魔裟斗がいたからっていうのがあるので。みんなが知っている選手をメインに持ってこれるようなイベントにしていければ」。
候補として、この日行われた55キロ級トーナメントを圧倒的な強さで勝利した金子晃大と玖村将史の名を挙げ「そういう意味でも2人の知名度が全国的に上がっていくようにしていかなくちゃいけない」と語気を強めた。新たなスターは誕生するのか、今後のK―1に注目だ。
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