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「精密機械」荒正義72歳「ツキを引き寄せるために何十年も苦労して戦ってきた」「運の強弱を見分けられずに麻雀を語るなかれ」【後編】

東スポWEB / 2024年7月14日 10時4分

健康法はウオーキングとストレッチ。「週3日やるだけでも体のキレが全然違う。麻雀は体力勝負だからね」

【レジェンド雀士からの金言】忘れられない打ち手をひとり挙げるとしたら7歳年上の作家、白川道さんだという。「週に5回は誘いの電話が来る。それが20年間続いたからね(笑い)。白川さんはとにかく強い。勝負の駆け引きはものすごく鋭く、手作りもうまい。真剣勝負でも暗さがまったくない憎めない人。1日東風戦15回前後を週4回、年間200日以上やっていたからね(笑い)」

修羅場をくぐってきたからこそ決めていたことがある。

「汚いことはしない。手積みでも全自動卓でもイカサマを仕掛けてきたり、なんでも欲しがる人間をいっぱい見てきたけど、荒正義という看板が泣くようなことはいっさいしなかったね」

荒の武器は「相手と自分の運量の測定」だ。


「運量、要するにツキ状態に1~10という幅があるとして、真ん中あたりにいるとすれば、そこに合わせた打ち方をする。たとえば親満をアガった次局は、ツキ状態が高い打ち方に変えて一気呵成に攻めていくといったように、自分のツキ状態と相手3人のツキ状態をはかり、それに合わせて打牌に強弱をつけていくことは徹底してきたかな。何があっても前に出ないパターンも体に染み込んでいるからね」

運量の測定精度を高めるため、新人王を獲得した23歳のころから続けていることがある。

「麻雀日記をつけることは50年たった今でも欠かさず毎日続けているよ。こういう時はこれを切った。でもこっちを切るケースもあったかもしれないなど、とにかく書いて記録する。書くことで脳にインプットされるからね。だからこのエッセーに牌姿が欲しいとなれば、日記を見ればすぐに探せるし、いくらでも作れる。記録してきた牌姿は漫画原作等、いろんなところで役立っているんだよね」

Mリーグ人気で麻雀プロ志望者も年々増えている昨今、思うところがあるという。

「売れれば勝ちみたいな感じでやっている若い人が多い気がする。仮に容姿が整っているというだけで重宝されたとしても肝心の麻雀はひどい。プロである以上、麻雀だけはしっかり打てないとダメじゃないの?と。なかなか言う機会も相手もいないんだけどね(笑い)」
麻雀に流れはあるのか、それともないのか。かつて麻雀界では二極化し、お互いが主張し合う時期もあったが、荒は心底どうでもいいと思っていたそうだ。

「目に見える手牌で一生懸命戦術を立てている若い人は多いけど、最も大事なことはツキの流れを把握すること。ツキを自分に引き寄せるために、俺たちは何十年も苦労して戦ってきた。全自動麻雀卓に流れなんてないという考えもあるかもしれないけど、流れや運の強弱を見分けられないで麻雀を語るなと言いたいね。運の強弱を見分けるためには経験値を上げるしかないけれど、そもそもそれを突き詰めようともしていない。結局そういう打ち手は勝負の場では勝てないけどね」

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