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【阪神】投高打低で消えたアドバンテージ 〝ノムラの参謀〟が贈る現状打破のヒント

東スポWEB / 2024年7月17日 6時4分

厳しい表情で戦況を見つめる岡田監督

阪神は16日の巨人戦(東京ドーム)に1―2で競り負け、連勝が2で止まった。先発した才木は133球の熱投で8回2失点完投したが、気の毒すぎる3敗目。勝てば首位に返り咲ける一戦を手痛い形で落としてしまった。本紙評論家の伊勢孝夫氏はこの日の試合を「『投高打低』の傾向が顕著な今シーズンを象徴するかのような戦いだった」と分析。打撃コーチとして四半世紀以上活動してきた経験を踏まえ、現役選手と打撃コーチに寄せた期待とは――。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】私が今もどこかのNPB球団の打撃コーチだったなら…。正直なところ、想像しただけで胃が痛くなってくる。ここ数年、プロの投手陣の技術向上には改めて驚くしかない。この日の才木と巨人先発・山崎伊の投げ合いがまさにそうだったが、一軍の投手は「150キロ以上の直球を投げて当たり前」という時代に突入している。投球の生命線であるアウトローへの制球の精度も直球、変化球ともに見事だった。

昨季の日本一チーム・阪神は現在セ4位。しかし、決してチーム力そのものが劣化したわけではない。もともと投手力の高さを最大のストロングポイントとしてきたチームだが、今季に入って広島、巨人、中日などのピッチャーたちも劇的に能力が向上。阪神が保持していたアドバンテージが相対的に解消されたとみるべきだろう。

とはいえ現状のトレンドは近い将来必ず終わりが来ると断言できる。投手力が向上すれば、それを上回るための打撃技術の革新が促進される。打者陣のレベルが上がれば、それを攻略するために投球技術が磨かれる。そうした「追いかけっこ」のサイクルを繰り返し、野球という競技は進化してきた。今もまた、その過程の中の一段階にすぎない。

私がヤクルトの打撃コーチを務めていた1990年代前半を振り返ってみたい。リーグ制覇のため、当時のチーム課題は巨人の三本柱と呼ばれた「斎藤雅樹、桑田真澄、槙原寛己の3人をいかに打ち崩すか」という一点に集約されていた。ノムさん(野村克也監督)と何度も話し合った結果、メーカーに無理を言って150キロ以上の球速が出るマシンを開発してもらうことになった。

150キロのマシンなど現在では当たり前となっているが、30年以上前の技術力からすれば相当に無理な注文だった。通常は2、3本しか装着されていないバネを4、5本まで増やす強引すぎる〝魔改造〟を施してもらった結果、何とか完成。試合前練習が始まる前に全ての野手を室内練習場に呼び「打てなくても構わんからまずは球速だけでも体感しろ」とマシンの前に毎日立たせた。一番効果が出たのは土橋(勝征=現ヤクルト二軍内野守備走塁コーチ)。三本柱の速い球にも、しっかりバットが合うようになった。

少し気が早いが、今オフの各球団の秋季キャンプなどで、それぞれの打撃コーチがどのような創意工夫を見せてくれるか楽しみにしている。多少仰々しい言い方になるが、生身の人間の知性が、目の前の問題を解決する瞬間を見てみたい。新たな〝革命〟はこの秋から始まるはずだ。(本紙評論家)

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