【ブル中野連載＃20】５０キロ減量してプロゴルファー目指したけど…もう日本じゃ練習できない

プロレスラー時代の面影はなかった（９８年１１月）

【ブル中野・告白（20）】１９９５年にＷＷＦ（現ＷＷＥ）を離れた後にＷＣＷが女子をスタートするという話がありました。オファーを受けた私は１１月に北斗晶、キューティー鈴木、尾崎魔弓を連れて米国に渡ります。フロリダにあったディズニーのＭＧＭスタジオで１日に３試合分のテレビ撮りをした２日目のこと。場外で私がキューティーと尾崎を捕らえたところに北斗がプランチャをやったところ、２人がはけてしまって…。私がプランチャを受けたところヒザの上に乗っかってしまい、後十字靱帯と内側靱帯の２本が切れてしまいました。

歩くこともできず、車イスで帰国です。靱帯が切れているから腫れてしまい、伸ばすことしかできません。その後は日本で４～５試合に出たくらいかな。最後は確か全女の地方大会だったと思います。年末に予定されたＷＣＷの女子王座決定トーナメントに出ることができなくなったので、これで退こうと思いました。本当は初代ＷＣＷ女子王座を取って引退しようと思っていたのですが。

東京・東長崎の実家で半年くらいゆっくりしていました。両親からは「１５年間頑張ったんだから何もしなくていいよ」と言われましたが、逆に何かしなきゃ、自慢の娘になりたいなと思いましたね。だけど、プロレス以外に何もできない。じゃあ、やりたいことを探してみようとした結果、現役時代に接待で何回かやったことがあるゴルフだったのです。

９６年１２月に栃木のゴルフ場に決め、翌年の４月から入ることになりました。そこから３か月は近所のジムに通い、１日に有酸素運動５時間、筋トレ１時間、ゴルフの練習１時間のメニューをこなしました。１日１６００キロカロリーに抑える食事療法にも取り組み、５０キロの減量に成功。体重は６５キロまで減りました。

ゴルフ場にはブル中野と明かさないということで入れてもらったのですが、次第に「ブル中野がいるみたいよ」ってみんなが練習場に来るようになってしまって。初心者なので、いっぱい恥をかいて練習をしなきゃいけないのに、ブル中野はかっこよくなきゃいけないし、強くなきゃいけない。結局、もう日本では練習ができないと思い、フロリダに渡りました。

当時は観光ビザで半年くらい滞在できたのですが、行ってすぐに（２００１年９月の）同時多発テロが起きて、３か月しかいられなくなりました。しょうがなく学生ビザを取って、ＵＣＦ（セントラルフロリダ大学）のセカンドランゲージという英語の学校に入学。２９歳で学生になったんです。しばらく学校に通いながらの生活を送っていたのですが、練習ができないなと思ってグリーンカード（永住権）を取りました。そこから集中してやったんですけど…。