【名古屋場所】全勝・照ノ富士の「強さ」と「大関陣との違い」秀ノ山親方が徹底分析
東スポWEB / 2024年7月23日 6時12分
独走Vへ死角なしだ。大相撲名古屋場所9日目(22日、愛知県体育館)、横綱照ノ富士(32=伊勢ヶ浜)が小結大栄翔(30=追手風)を上手出し投げで退け、全勝を堅守。後続に2差をつける独走で3場所ぶり10度目の賜杯へと突き進んでいる。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)は今場所の強さを徹底分析。大関陣との決定的な違いを指摘した。
照ノ富士が一人横綱の貫禄を示した。大栄翔にノド輪で突き起こされても慌てない。前に出て逆襲に転じると、相手に圧力をかけ続けて最後は上手出し投げを決めた。この日の取組について、秀ノ山親方は「大栄翔の突っ張りを当てがいながら、自分の形になるまで我慢していた。落ち着いて相撲が取れている」と分析する。
今場所全体の相撲内容に関しても「これまでの場所では、どちらかと言うと、さばきながらまわしを取る相撲だった。今場所は休場明けの不安がある中で、序盤からしっかりとヒザを曲げて前傾姿勢で相手に圧力をかけている。動きのある宇良や翔猿にも受けるのではなく、自分から前に出て相手との距離をつぶしていた。(古傷を抱える)ヒザの状態が、かなりいいのでは」と指摘した。
かねて精神力の強さと技術力の高さに定評がある横綱に、体調面の良化による馬力まで加われば、まさに〝鬼に金棒〟。今場所の独走劇は、必然の結果とも言える。秀ノ山親方は「今場所の照ノ富士には、小手先に頼らない力強さを感じる。そうなると、相手は何もできない。今の大関陣と比べてみても、力の差は縮まっていないと感じる」と力説した。
照ノ富士は9日目を終えて、後続とは2差を堅守。追いかける力士は大関琴桜(佐渡ヶ嶽)と平幕の美ノ海(木瀬)の2人だけとなり、現行の優勝制度以降では史上初となる12日目のV決定も現実味を帯びている。その横綱は、10日目以降へ向けて「これから上位(との対戦)ですから。まだ6番もありますんでね」と気持ちを引き締めた。
秀ノ山親方は「照ノ富士は、千秋楽を迎える前に優勝を決めるのでは。このところは上位の力士が優勝できなかったし、今回は番付の価値を示してもらいたい」と横綱の復権を望む一方で「大関も意地を見せてほしい。照ノ富士との直接対決で場所を盛り上げてくれれば…」と大関陣の奮起に期待を寄せたが…。果たして、どうなるか。
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