【パリ五輪】警官だらけの会場周辺 高架下にはホームレス…記者が見た〝花の都〟の現実
東スポWEB / 2024年7月23日 10時6分
【フランス・パリ22日(日本時間23日)発】26日(同27日)に幕を開けるパリ五輪を前に、各会場では着々と準備が進んでいる。パリで真夏の祭典が開催されるのは、1924年以来100年ぶり。テロなどを不安視する声もあり、各地で徹底した警備を実施。銃を持った警官などが護衛にあたっている。しかし、街中を一歩離れると想像からかけ離れた光景も…。現地入りした記者が〝花の都〟の今をお届けする。
パリ五輪はブレイキンやスケートボードなどの会場となるコンコルド広場、フェンシングやテコンドーの会場であるグラン・パレなど、多くの観光名所で競技が実施される。観光との両面を楽しめる構図となっているだけに、関係各機関はテロ対策には余念がない。
26日の開会式では各国選手団がセーヌ川を船に乗ってパレードする予定。しかし、入り口の数を制限できる競技場と異なり、警備へのハードルが高い。そこで地元当局は18日からセーヌ川沿いの約10キロにわたって金属フェンスなどを設置し、厳戒態勢を敷いている。また、コンコルド駅など一部の駅を閉鎖。人の動きを制限することでテロのリスクを下げる狙いという。ただ、自由に道を進めない観光客と警備員がもめる場面も多く見受けられ、パリを観光した日本人旅行者は「パリ五輪に向けた対策なのか警察官が多い印象。警察犬もいて、道の規制もすごいですね」と語り、驚いた様子だった。
選手村も会場周辺と同様に、厳重な下準備が施されている。過去には1972年ミュンヘン五輪の開催中にパレスチナのゲリラ集団「黒い九月」が選手村に侵入。イスラエル選手団11人が殺害される事件が発生した。現在もロシアによるウクライナ侵攻などで国際情勢が不安定なため、警戒感が強まっているという。選手村のあるボランティアは「セキュリティーは本当に厳しいですよ。毎回のように手荷物検査がされている。最近では(米国の)トランプ前大統領の暗殺未遂事件もありましたからね」と指摘した。
平和への強い思いをにじませながらも、厳しい現実も残されている。治安に不安のあると言われるパリの北側には高架下にテントを張ったホームレスの姿も多い。さらに車中泊用の車がホテルの近くに並んでおり、周辺では夕方から人々が口論する様子もみられた。前回の東京五輪は開催決定後からホームレスへの取り締まりを強化。この政策は国内外で波紋を呼んだものの、都市整備へかじを切った。ただ今回のパリ五輪では〝花の都〟のイメージ通りの街づくりまで追いついてはいなかった。
パリ五輪は24日からサッカー男子などが一部競技がスタート。4年に一度の熱い戦いが繰り広げられる。多くの懸念点が目立つ中で、果たして無事に全日程を終えることはできるのだろうか。
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