暑さランキング全国１位！〝大仏じゃない方〟のホットな牛久へ行ってみた

暑さ日本一を記録した千葉県市橋牛久にある小湊鉄道の上総牛久駅

〝じゃない方〟の牛久って？ 連日の猛暑に日本全国の最高気温ランキングがニュースを賑わせている中、千葉・市原市の牛久が２２日に３８・８度で５位に躍り出たかと思えば、２３日には３９度で１位となった。牛久大仏がある茨城県の牛久と勘違いする人も多く、今年の暑さランキングで日本一を記録したホットな現地へ行ってみた。

市原市の牛久は、房総半島の真ん中部分に位置する。ＪＲ内房線の五井駅から小湊鉄道でのどかな水田エリアを眺めながら約３０分揺られると、牛久エリアの中心部にある「上総牛久駅」に到着した。ニュースでは茨城の牛久と混同されることから「市原牛久」と呼ばれることが多いが、正式な名称ではなく、また「上総牛久」も駅だけの呼称で、地名としては存在しない。

室町時代には城があったとも伝えられる歴史あるエリアで、手つかずの自然を満喫できる。駅前にコンビニはなく、街道沿いにはレトロな豆腐屋や金物屋、畳屋、和菓子屋が並び、まるで昭和時代にタイムスリップしたかのようだ。

市原市によれば、四方を小高い山に囲まれ、ちょっとした盆地状となっていることから熱がこもりやすく、最高気温３０度以上となる真夏日の数も県内で１位となっている。

駅から１０分ほどのところにある消防署の敷地内にアメダス（地域気象観測システム）が設置されており、訪れた２４日は前日の３９度には及ばなかったものの、午後０時４０分に全国２位となる３８・４度を記録した。駅周辺を歩いている人は皆無で、記者も駅から消防署までの往復２０分を歩いただけで、熱中症寸前に陥るほどの尋常ではない暑さを味わった。

４１度超えで、最高気温記録の１位の座を争う埼玉・熊谷市や静岡・浜松市をはじめ、各自治体では暑さを逆手にとっての町おこしやプロモーションに利用するところも多い。市原市では冷房が効いた公民館やコミュニティーセンターを活用するクーリングシェルターの設置を呼び掛けての熱中症対策に尽力しており、暑さ１位の記録は昨日の今日とあって、ＰＲまでの発想はまだ出ていないという。

地元のタクシー運転手は「暑さを聞いて、駅舎に見に来る人が何人かいたけど、観光地は近くに高滝湖があるぐらいで、ここ自体には何もないから。住んでいる人も少ないしね（人口約１８００人）」と話す。小湊鉄道の沿線では、観光スポットの養老渓谷や田淵の地層に「チバニアン」の名称がついて話題になったが、牛久周辺は受け皿となる観光資源で、パンチに欠けるのが実情のようだ。

もっとも週末にはケンカ太鼓が有名な「牛久八坂祭」が開催されるとあって、地元の人は「暑いなんて言ってられない。祭りはもっと熱くなるから」と暑さもどこ吹く風。２００４年７月には、４０・２度を記録しており、最高気温ランキングの常連となってくれば、茨城・牛久と勘違いされることもなくなり、訪れる人も多くなりそうだ。