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【菊地敏幸連載#15】高橋由伸を追う一方、井川慶を初視察 恐竜が鉛玉を投げていた!

東スポWEB / 2024年8月2日 11時1分

入団発表の前日にドラフト2位の井川(右)は甲子園を見学。左は同1位の中谷仁

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(15)】後に阪神のエースに成長する井川慶を指名したのは1997年ドラフトでした。この年のドラフトは特殊でした。逆指名制度を使うという部分では変わりませんでしたが1位、2位を同時に指名する変則ドラフトです。

総じて見渡すとアマチュア野球界は不作の年でした。投手では明治大の川上憲伸(中日逆指名)、野手は慶応大・高橋由伸(巨人逆指名)が有力選手でした。高校生では京都・平安高の左腕・川口知哉でしょうね。

ただ、その川口と同い年の左腕の中にも逸材が存在しました。それが水戸商高の井川であり、鳥取城北高の能見篤史でした。井川はこのドラフト2位で、能見は後にご縁があって大阪ガスから阪神に入団することになります。

この年はもう阪神の立場からすれば高橋にも川上にも縁がないと、最初から諦めている感じがありました。私とすれば担当選手は高橋でした。高橋は早い段階から関東地方の球団が希望ということを表明していましたし、上司も諦めの空気を出してはいました。

でもですよ。担当スカウトとして最初から諦めるなんて、それはないでしょという話ですよ。負けるのは覚悟で最大限の努力をするのが仕事でしょと思っていました。そこで私はある文章を作成しました。球界を代表するスーパースターになる選手を前にして、何もしないのはおかしいですから。

大学1年生からの数字やデータを表にするなど資料をまとめました。獲得のためにはマネーゲームになる公算が大きい。それでも阪神としても絶対に欲しい選手。阪神にはこれくらいの予算を用意してもらいたいとプレゼンを上司に向けて実施させていただきました。

そして、それなりの金額まで用意してくれるという約束もしてもらいました。ここまで書くと井川の話題ではなく、高橋の話題になってしまいますね。また、後に高橋のことも語りますのでいったん、井川の話題に戻ります。

私は高橋を追いかけている傍らで違う動きもしていました。この年から担当エリアが茨城県にも広がり、同県にいい投手がいるという情報を得ていました。その情報をもとに4月の後半、井川を視察に向かいました。

今でも覚えていますね。ゴッツイ体格で恐竜のようにノッシノッシと歩いてくる。特に大きな期待をしていたわけではなかったんですが、衝撃の投球を見せられることになります。相手は竜ヶ崎一高だったかな。7回参考記録ではあるんですが完全試合をやってのけたんです。

しかも、21個のアウトのうち18個が三振です。10連続ってのもありましたね。センスあふれるっていう投球イメージではないんです。それでも、とんでもない馬力の持ち主であることは分かりました。フォームもなんだか自己流な感じで、鉛球を投げてるように重いボールをズドーンと投げ込んでくる。井川の姿をひと目見て心を奪われましたね。

そこから徹底マークを続けるのですが、ある問題にたどり着きます。

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