1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 野球

【菊地敏幸連載#17】井川慶の腰痛はただの成長痛と判明!これでゴーサインです

東スポWEB / 2024年8月7日 11時23分

03年の井川(右)は20勝で星野阪神のVに貢献した

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(17)】 1997年ドラフト2位・井川慶の獲得までには一つの大きなハードルがありました。今でこそ皆さんは丈夫な井川を知っているわけですが、高校3年時の夏は腰痛を抱えていて痛み止めを注射して投球していたほどでした。

素材としての素晴らしさは問題ありません。ただ、この腰痛の原因を究明しておかないわけにはいきません。横溝スカウト部長には2位での指名を了承していただいた上で、腰痛の徹底調査を指令されました。

ここでは水戸商業高・橋本監督の大学時代の同級生だった阪神・末永チーフスカウトの力が生きました。内密に井川を大阪へ呼び出し、専門医に徹底的に検査をしてもらいました。

その結果、診断は「成長痛」。つまり、何も問題ないということです。これで完全にゴーサインとなりました。

阪神が井川獲得に向けてこれだけ動いていることは、周囲にまだバレてはいませんでした。ですが、ドラフトが近づくにつれて素材不足ということもあり、他球団スカウトの触手が井川に伸びてきました。

ロッテが上位指名するという情報が9月にマスコミに出てきたこともありました。スカウトの談話も掲載されていて高評価と出ています。それでも阪神が早くから動いていたことを知ると、サッと手を引いてくれました。腰の状態が分からないということもあったようです。

そのあと出てきたのは日本ハムです。山田スカウト(のちのGM)が阪神が動いていることを知りながら、お構いなしにガンガン動いてきましたね。日本ハムの1位は近大・清水章夫投手の逆指名で固まっていましたので、井川を指名するとなれば2位でしかいけない流れです。

阪神は表向きは中谷が1位でしたが、井川を1位、中谷を2位でも獲得可能。マスコミの皆さんには阪神は1、2位がまだ固まってないというニュアンスを出してほしいなとお願いしたこともありましたね。

結論として阪神は2巡目で井川の独占指名権獲得に成功しました。2003年には20勝を挙げて最多勝、沢村賞を獲得して星野阪神のリーグ優勝の原動力になってくれました。05年は岡田阪神のエースとしてチームをリーグVに導いてくれました。

阪神では4シーズンにわたってシーズン200イニング以上を記録。強くなった阪神の一時代を背負った左腕エースと表現して間違いないでしょう。07年からは米大リーグ・ヤンキースに移籍してメジャーリーガーにもなりました。

その後はオリックス、独立リーグを経て現在は解説者として活躍しています。今年に入っても電話で話をさせてもらいました。アナウンサーの方からの質問に対して「そうですね」を連発するので「それをやめなさい」と助言させてもらったら「そうですね…」と回答がありましたよ(笑い)。

本当に独特でマイペースな空気を持っていてね。免許証を取得した際に地元、茨城の大洗に帰省して運転したそうなんですよ。すると「耕運機に追い抜かれました」ってね。そんなお話をどこかのユーチューブの番組に出演した時に話していました。

現役として活躍した上に今も球界に関わって貢献してくれている。スカウトとしてもありがたい限りですね。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください