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【佐藤優コラム】「埼玉県立高校の共学化問題」の不可解 政治化したこと自体が深刻な問題

東スポWEB / 2024年8月8日 16時2分

佐藤優氏

2023年8月30日、埼玉県の第三者機関「男女共同参画苦情処理委員」が、県内に計12校ある男女別学校を早期に共学化するよう県教育委員会に迫る勧告を行った。今月中に教育委員会がこの勧告に対する結論を出すことになっている。

この勧告の元になったのは、同一人物が提出したと思われる2件(内容はほぼ同じ)の苦情申立だ。この苦情申立がどのようなものであるかが、新聞やテレビでは一切報じられていない。

筆者はその写し(原文は手書き)を入手したので、紹介する。<整理番号4―001 苦情申立書 平成4年4月12日(中略)/苦情等の申出の趣旨(解決してもらいたいこと) 県立浦和高校が女子が女子であることを理由に入学を拒んでいる事。女子の入学は当然認めるべきだ。女子差別撤廃条件に違反している事態は是正されるべきだ。/苦情等の申出の内容(具体的な内容と経緯)①いつ‥「女子差別撤廃条約」に日本が批准した時点から。②どこで‥埼玉県内で、県立浦和高校等。③だれから‥県教育委員会、県立浦和高校等。④どのようなことを‥女子が女子である事を理由に入学を拒んでいるのは「女子差別撤廃条約」に違反している。(以下略)>。

元役人(外務官僚)だった筆者の経験からすると、中央省府がこの種の苦情申立をそのまま受理することはない。

なぜなら、求められている事項に適合しない内容が書き連ねられているからだ。まず、「いつ」について、<「女子差別撤廃条約」に日本が批准した時点から>ということだが、日本がこの条約を批准したのは1985年のことだ。筆者ならば「あなたが、浦和高校への入学が女子である故にできないと言われたのは、何年何月何日ですか」と尋ねて、日程を確定させる。「どのようなことを」に関して、<女子が女子である事を理由に入学を拒んでいるのは「女子差別撤廃条約」に違反している>ということについても、筆者ならば「これはあなたの意見表明です。あなたが言われたこと具体的に書いてください」と要請する。

埼玉県男女共同参画苦情処理委員は、なぜこのようなちぐはぐな記述がなされた苦情申立を受理し、それに基づき勧告をしたのかが、筆者には理解不能だ。そもそも政府は男女別学校の存在が女子差別撤廃条約に違反しないとの立場を繰り返し表明している。

苦情処理委員が本件を取り上げ、政治化したこと自体に深刻な問題がある。

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