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【菊地敏幸連載#29】とある3人のキーマンが「鳥谷敬を阪神に行かせる会」を結成しました

東スポWEB / 2024年8月29日 11時9分

足しげく通った鳥谷敬が練習する東伏見の早大グラウンド

【菊地敏幸 辣腕スカウトの虎眼力(29)】2002年のドラフトでは自由獲得枠で狙っていた早大・和田毅の争奪戦に敗れました。当時のダイエーホークスの競争力はなかなかのものでした。それでも、タダで転ぶわけにはいきません。翌03年のドラフトでは新たなターゲットを絞って本格的に動き出さなければなりません。

阪神が狙っていたのは和田の1学年後輩に当たる早大・鳥谷敬でした。これはもう誰が見ても12球団が欲しがる選手であることは間違いない素材でした。守備の要の遊撃手でありながら長打もあり打率も残せる。しっかりレギュラーに固定できれば10年先も安泰です。

もちろん、東京六大学リーグですから各球団のスカウトは常にそのプレーを見ています。自軍の補強方針と合うかなどを含めて吟味していくわけです。これは、ごくごく表の仕事です。しっかり足を運んで選手のプレーを見る。大学関係者とコミュニケーションを取って誠意を示す。これが当たり前にあって、その次があるわけです。この時代は自由競争枠があり大学、社会人選手から逆指名を勝ち取らなければならないわけです。

選手の決断に関してはどういう大人が選手に影響力があるのか、ご両親の考え方はどうなのかなど、いろんな角度から鳥谷へのアプローチを思案しました。この時代は「お金」という部分もフォーカスされました。それも重要な要素であることは否定しません。ですが、どんな仕事にも必ず関わってくるのは人間です。人と人のつながりをしっかりたどることが重要でした。

少年野球、中学野球、高校野球、大学野球、社会人と選手にはそれぞれに恩師が存在します。人間ですから相性があり、選手本人に合う合わないもあるでしょう。そこで選手がどういう人物の言葉を大切にするのかを見極めることも、スカウトの力量を試される部分でした。

一例を挙げれば鳥谷が卒業した埼玉・聖望学園高の岡本幹成監督は、実は大阪・桜宮高から東北福祉大です。24歳から同校の監督に就任し、元近鉄の門倉健や元ヤクルトの小野公誠らを育てた人物でもあります。勘のいい人は分かるかもしれませんね。阪神の矢野燿大前監督の経歴を見れば同じであることが分かります。

こういった情報や関係性を知っているだけではまだまだです。この人脈をどう生かすのか。さらに、その先にある人間関係をどう活用していくのかが重要になります。だからといってそれが即、鳥谷の心象に作用して阪神を逆指名してくれるとは限りませんが。

さまざまな方面のいろいろな人物に「阪神に行くのがいいよ」という空気を作ってもらうことが重要なんです。これは思い通りにいかないこともありますし、どこかで個人が勝手な動きをするとマイナスになることだってあります。鳥谷と関係性が良くない恩師や関係者と関係性を築いても…ということはご理解いただけると思います。

この時期は複数のアマチュア野球関係者が、鳥谷を何とか阪神に入団する方向に後押ししようという流れを作ってくれました。とある3人のキーマンがタッグを組んでくれて「鳥谷を阪神に行かせる会」のようなものを結成していました(笑い)。

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