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「近鉄の練習はきつかったですね」岩隈引退会見を沸かせた朝井広報のスピーチ【平成球界裏面史】

東スポWEB / 2024年9月1日 9時25分

朝井広報のトークに穏やかな笑みを浮かべる岩隈久志(2020年10月)

【平成球界裏面史 近鉄編68】令和2年(2020年)10月23日、岩隈久志投手の引退会見が東京ドームホテルで行われた。近鉄、楽天、マリナーズ、巨人のユニホームに袖を通しプロのキャリアは21年。直接、巨人入団へのラブコールを送った原監督もサプライズで登壇するなど、会見は温かい雰囲気で執り行われた。

巨人在籍の2年間は右肩痛が解消されることはなく登板ゼロ。無念の結果に終わった。だが、球団が盛大な会見を用意したということは、岩隈の目に見えない貢献度を考慮されたからに他ならない。会見内容は近鉄時代の話題にも多く触れられ、岩隈も近鉄ファンへの感謝を口にした。そして、いよいよ会見もお開きかと思われた時、さらなるサプライズが待っていた。会見の最後でマイクの前に現れたのは近鉄、楽天でチームメートだった朝井秀樹広報(現在は巨人一軍サブマネジャー)。岩隈とは同じ投手であり3歳年下の後輩だ。

「広報部の朝井と申します。21年間、お疲れさまでした。(記者会見の)質問というより、岩隈さんとは思い出話、懐かしい話になったり、いろいろな話が尽きないんですけれども、僕が入団した時から岩隈さんはエースに上り詰めている最中で…。近鉄の練習はきつかったですね! 毎日50メートルのタイムトライアル、ランニングをさせられていましたね。僕の三歩が岩隈さんの一歩でした」

朝井広報のスピーチに場内は大いに沸いた。身長190センチの岩隈の歩幅の大きさを自虐的に明かすと「そうだね。きつかったよな。朝井はずっと走っていたな」と笑いを抑えずにはいられなかった。

朝井が近鉄に在籍したのは3年。短い期間だが、PL学園から入団して藤井寺球場に併設された球友寮に入り、岩隈とは濃い時間を過ごした。当時の近鉄投手陣のタイムトライアルは規定タイム以内で走れないと、1本とはカウントされない。岩隈はランニングメニューを苦もなくこなし、10本なら10本で終了となることがほとんどだった。しかし、歩幅で劣る朝井は延々と走らされるケースが多かった。

その朝井広報が「僕は延々と50本、60本走ってるイメージがあるんですけども、そのきつい練習が終わった後に岩隈さんの寮の部屋に行って、ジュース飲んで、お菓子食べて、たわいもない話をしていた思い出があります。その中でも最終的には野球のアドバイスであったり、夢を語ってくれたり、奥さまとの出会い話をしてくれたり、数えても数え切れないほどの思い出があるんですけども。楽天に行ってからは、ロッカーも隣でしたね」と話すだびに、岩隈の顔に笑いじわが浮かび上がった。

岩隈の車に乗って球団寮から飛び出し、夜食を食べに出かけたこともあった。朝井にとっては一軍のエースとして大活躍する岩隈の言葉、全てが心に響いた。そういった時間は岩隈にとっても近鉄時代の大切な思い出になっている。

「一緒に切磋琢磨しながらやってきたから。できる限り、一軍のマウンドで一緒に戦ってという思いもあったから、そういった日々もいい思い出だなと、今思うね」。盛りだくさんの引退会見の中でも近鉄時代の昔話は岩隈の心を大いに揺さぶった。

岩隈は現在、米大リーグ・マリナーズの特任コーチという肩書きを持っているが、後進の指導にも近鉄時代の経験が生きているに違いない。

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