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【佐藤優コラム】現地訪問して感じた「モスクワの実情」 日本との報道空間の大きなギャップ

東スポWEB / 2024年9月5日 16時4分

佐藤優氏

8月13~19日、22年ぶりにモスクワを訪問した。

今回痛感したのは、ロシアと日本における報道空間の大きなギャップだ。ロシア領クルスク州へウクライナ軍が攻撃し、一部地域を占拠していることに関しても、客観的事実についてロシアの政府系メディアは西側と同じ報道をしている。しかし、政治エリートにも民衆にも動揺はまったくない。

そもそもロシア人全体が、今回の戦争はウクライナが主敵ではなく、アメリカと戦っていると認識している。そして、この戦いでロシアが敗れることはないと確信している。客観的に見れば、ウクライナが自国内の防衛に限定するとしていた基本方針を転換し、ロシア領を攻撃するという転換を遂げたわけであるが、ロシア国民は事態を冷静に受け止めている。外国人傭兵を中心とするウクライナ軍は、アメリカの指示に従って動いているに過ぎないというのが、ロシアの政治エリート、民衆双方の受け止めだ。

ならば、「侵略者」を駆逐して、アメリカにロシアの実力を教えてやろうという感覚が(政治エリートよりも)民衆に強いという印象を筆者は受けた。

ある知人が「アゾフスターリの戦闘で、ロシア軍は3人の外国人傭兵(イギリス人2人、モロッコ人1人)を捕虜にして以降、傭兵の捕虜に関する報道がまったくないことに注目してほしい。傭兵は、殺人犯に過ぎないので、現場で適切に『処理』している。クルスクにおけるウクライナ軍の主体は、ポーランド人、ジョージア人、イギリス人などの傭兵だ。ロシアは、テロリストの殺人者に対しては、相応の責任を取らせる」と言っていた。クルスクの戦闘の現場は、凄惨な状態になってると筆者は見ている。

モスクワにいると戦争が行われているという実感がない。筆者は、「赤の広場」とクレムリンが目の前に見えるモスクワ中心部のナショナル・ホテルに泊まったが、街は平穏で、午前零時を回っても、レストランやカフェには人が集まり、市民生活を楽しんでいた。十数人の一般市民と話してみたが、「戦争なのだから、局地的に不利になることは十分ある。しかし、この戦争でロシアが敗れることはない。ゼレンスキー大統領としては、何らかの目に見える成果が出したいので、軍事的に無理をしているのだろう」という受け止めがほとんどだった。

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